内容説明
精神分析学の歴史に「対象関係論」の礎石を据えた人として知られるフェアベーン。本書では人格の核心、即ち自我から出発することによって、自我を支えてくれる対象に必死で迫ろうとする自我自身の悪戦苦闘のさまを詳細綿密に論じる。人格における分裂的要因から独自のスキゾイド・パーソナリティー論を展開した。精神分析医としての豊富な臨床例をもとに、独創的視点で人格を分析した画期的論考。
目次
第1部 人格の対象関係論(人格における分裂的要因;精神病と精神神経症の修正された精神病理学;抑圧と、悪い対象の回帰(とくに戦争神経症に言及して)
対象関係から見た内的精神構造
対象関係と力動的構造
人格の対象関係論にいたる発展的な歩み
人格構造に関する著者自身の見解の発展の概要(抜粋))
第2部 臨床的論文集(ある女性患者のいだいた宗教的幻想に関する覚え書き;一人の生殖器に異常のある患者の分析に見られたいくつかの特徴;分析治療中の患者たちに及ぼした国王陛下の崩御の影響;戦争神経症―その本質と意義)