内容説明
文化記号論は、言葉を人間の心の働き、すなわち精神の創造的な営みとみなすことから出発し、文化現象のすべてを言語記号の総体として捉える。哲学・文学・社会学・人類学等、あらゆる人文科学の基盤としての中心的役割を担うに至った文化記号論の現在を多面的に考察。意味論・修辞学等の基礎理論から、記号論のめざすべきアクチュアルな課題までを明確に論じた、第一線言語学者による必携の好著。
目次
第1章 ことばの意味と意味作用
第2章 ものと記号―記号としての世界
第3章 かたちの修辞学
第4章 意味の修辞学
第5章 日常的な記号世界
第6章 非日常的な記号世界
第7章 文化の中のことば―ことばとしての文化
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アドソ
15
「記号論への招待」を一冊目とすれば、二冊目に読むといい本だと思う。こちらはタイトル通り文化の記号論的解釈に多くページを割いている。少し古めかしい(=言い古された?)と思うところもあったけど、初版から数えて35年近くたち、記号論的なアプローチがすっかり普通になったことの証でもあるのだろう。さて、記号論は現在どうなっているのか気になった。現代の記号論は現代の文化を解釈することができるのか。2017/10/02
サイバーパンツ
15
圧縮版『記号論への招待』+修辞学、文化記号論。少しコンパクトに詰め過ぎており、物足りなさが残る……。要点と参考文献リストが各章の終わりにまとめられているので、そこから深く詰めていこうかな。2016/10/03
madofrapunzel
4
(点数保留) 「記号学への招待」を先に読もうとしたけど見つからなかったので、池上さんのこちらを先に読んで、第一章だけ読んだ。評論を書くために借りたのだけれど、まぁ言ってる内容は今まで勉強してきたことかなって感じ。2014/04/07
amanon
3
「今更『文化記号論』…」という感じで手に取ったけれど、読み終えてみて、やはり今更感が否めない…(笑)記号論ブームから二十年以上を経て、本書を読んでみると、どこか脆弱というか、その後大きな流れとなりえなかった限界のような物が垣間見られる気がする。それから、個人的には修辞学を扱った三章、四章がかなり分かりづらかった。特にこれらの章にはある程度注釈が必要だったと思うのだが…後、五章、六章ではキリスト教についてかなり言及されていたのが意外。キリスト教が記号論の脈略で語られるのは、割に珍しいと思うのだが…2014/09/30
あんかけ
2
読み終え。文字・言葉にまつわる前半と文化の実例を出しつつその意味合いを出していく後半、どちらもわかりやすくて面白かった。頭のコードの話で言葉が言葉として成り立つ過程をちょっと覗いているようにも思えて良かった。某動画で「合う」の意味は複数ある、みたいなズレた表現の流行りが定着するのもこの考え方でできそう。後半の文化の意味合いはハレとケの区切りがわかりやすかった。今の世の中、ケの日しかないから誰もがインターネットでハレをしているのでは…?30年前の本なので今の時代だとどう論じられるのかは気になる。2024/07/26