出版社内容情報
【内容紹介】
わが国初のノーベル賞に輝く湯川博士生涯の記念碑的作品。本書は現代物理学の物質観を、そして同時に、今日の自然科学的なものの見方・考え方を、だれにもわかる平易な言葉で説いている。「目に見えないものの世界」への旅立ちを伝える諸篇には、深く豊かな知性が光り、「真実」を求めてのあくなき思索が生み出した珠玉の言葉には、ひとつの確かな思想がある。初版以来、学問に志す多くの若者達の心をとらえ続けてきた名著である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アナーキー靴下
92
湯川博士が現代物理学の物質観をだれにもわかる平易な言葉で説いてくれる本(※初版発行は1946年)。平易な言葉で説く、とは単純に専門用語を抑えて語るのみに非ず、門外漢や初学者にも筋道が見えるよう無駄なく丁寧に説明してくれるのだ。古代の自然哲学と科学は地続きであろうとの思索等惹かれる内容ばかりで、この世界に無味乾燥な部分など一片もないように思えてくる。「人間性に対する自覚と信頼とを離れては、哲学も科学もその存在意義を失ってしまうであろう」この言葉は、アインシュタインの宗教なき科学…の言葉にも通ずるように思う。2021/08/13
ろくせい@やまもとかねよし
86
1946年に初版が出版された本書は、多くが戦前に記された湯川秀樹さんの随筆などをまとめたもの。三部構成で、第一部は中間子などの理論物理学について記し、第二部は自伝、第三部は随筆集。本書は湯川さんが30代〜40代に記したもので、その内容には尊敬しかない。自伝にもあるように、よく読み、よく考えてきた結果なのだろうか。2018/04/06
Hammer.w
20
ほとんどサッパリでしたが、読み終えただけでも価値があります。2017/10/22
キョートマン
18
哲学チックな話ぶりもあって面白い。漢籍や古典を引いたり、歌を詠んでいるのも文理両道ですごいと思った。2021/08/03
弥勒
15
最近か科学にはまって読んでみたけれど、大変面白かった。湯川秀樹氏の科学に対する実直な姿勢はこの本を読んでいてひしひしと伝わってきた。御本人は『ピエル・キュリー伝』において、ピエル・キュリー(キュリー夫人の旦那)に比して汚れていると書いているが、現在の人、科学者も含めて、どれくらいの人がこの人のように謙虚な心持ちで高潔な人格を有しているのだろうかとふと考えてみた。著者が汚れているなら、私たちはなんと形容されるのだろう。そんな感想を持った。2015/09/25