講談社現代新書<br> 漱石と三人の読者

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講談社現代新書
漱石と三人の読者

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  • サイズ 新書判/ページ数 252p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784061497436
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0295

出版社内容情報

新聞小説の読者である大衆をどう喜ばせるか。文化人に自らの小説観をいかに伝えるか。漱石は作品ごとに大胆な実験を次々と行なった小説は実験である!
あなたは漱石のたくらみを知っているか

漱石がわかる。小説がわかる。近代がわかる。――画期的な入門書の登場!

漱石の読者体験
まず、デビュー作の『吾輩は猫である』では自らを戯画化して書いているが、まだ素人作家だった漱石にも、自分が抱えていた鬱憤をそのまま吐き出しても読者には受け容れられないことぐらいはわかっていたのである。しかし、これはごく素朴な読者意識でしかなく、この時の漱石はまだごく身近な「顔の見える存在」に向けてしか書いてはいない。(中略)朝日新聞社の専属作家となった漱石は、入社第1作『虞美人草』によって手痛い失敗を体験した。読者は、漱石が「殺す」つもりで書き込んだ藤尾というヒロインを熱烈に支持したのである。――<本文より>

第1章 夏目漱石という文化
第2章 小説と格闘した時代
第3章 英文学者夏目漱石と小説
第4章 『虞美人草』の失敗
第5章 『三四郎』と3人目の読者
第6章 『こゝろ』と迷子になった読者
第7章 まだ見ぬ読者へ


石原 千秋[イシハラ チアキ]
著・文・その他

内容説明

小説は実験である。あなたは漱石のたくらみを知っているか。漱石がわかる。小説がわかる。近代がわかる。画期的な入門書。

目次

第1章 夏目漱石という文化
第2章 小説と格闘した時代
第3章 英文学者夏目漱石と小説
第4章 『虞美人草』の失敗
第5章 『三四郎』と三人目の読者
第6章 『こゝろ』と迷子になった読者
第7章 まだ見ぬ読者へ

著者等紹介

石原千秋[イシハラチアキ]
1955年生まれ。成城大学大学院博士課程中退。東横学園女子短期大学助教授、成城大学文芸学部教授を経て、現在、早稲田大学教育学部教授。専攻は日本近代文学。雑誌『漱石研究』(翰林書房)の編集人を小森陽一氏とともに務める
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

111
石原先生の漱石の作品に関する評論ですね。私はむかし今から60年以上も前ですが、「吾輩は猫である」を読んで虜になった覚えがあります。その後全集(岩波版)を読んだりしてきましたが、ここ数十年はほとんど読んでいません。漱石が朝日新聞の専属作家となった事情やあまり今のようにたくさんの読者がいなかったということで三人の読者(三種類の)という観点から分析されています。漱石自身が評価しない「虞美人草」などを読み直そうかと思いました。2021/02/17

佐島楓

47
「虞美人草」と「それから」において、大きな示唆をいただいた。こういうふうに近代文学を読めばよいのだな、と勉強になった。2016/04/23

風に吹かれて

21
単行本が少ししか売れなかった時代、漱石はどういう読者に向けて書いていたのだろうか。 石原氏が「仮説」を立てた。「顔の見える読者」、「何となく顔の見える読者」、「顔のないのっぺりとした存在としての読者」。具体的には、漱石の周辺にいる読者・東京帝国大学周辺の読者、朝日新聞を読んでいる読者、単行本を読む読者。➡2021/02/12

fseigojp

18
漱石フリークとしては、むちゃくちゃ面白かった。とりわけ三四郎のミネコとの出会いの解釈は震えがきた。2015/08/23

おおにし

17
朝日新聞に「こころ」の連載が再現された時、この小説は新聞小説だったことを改めて認識した。漱石は新聞購読者向けに小説を書いていたのだが、同時にはっきりとした自分の読者である門下生たちや、単行本になった後未来にわたって読まれるであろう未知の読者までを想定して、重層的な構成となっていたという石原さんの漱石論はとても面白かった。確かに「三四郎」を読んだ時に感じた違和感は、私のような漱石にとって未来の読者には死角となる部分だったかもしれない。2016/03/12

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