出版社内容情報
【内容紹介】
犯罪の激増や50パーセントにもおよぶ離婚率、インフレと高失業率が共存するスタグフレーション、勤労者の堕落――これらの「アメリカ病」症候群を分析してみると、資本主義と個人主義の体質の問題が根源にあることがわかる。いつまでも《小国意識》を持ち続けるわが国がほんとうの先進国をめざすとき、そこから学ぶべきものはなにか。経済学を基盤に鋭い観察と軽妙な筆で描く、ユニークな日米民族・文化の比較論。
アメリカ病――スタグフレーションは、インフレと高失業率が共存する経済病であると同時に、人々が節度を失い、ルールを破ってまでも自分の利益だけを追究する社会病でもあります。20年前のアメリカには、スタグフレーションはありませんでした。第二次大戦後、名実ともに世界を制覇する20世紀の「大帝国」になったアメリカが、たった2、30年後活気を失い、広大な領土と豊かな資源を持つにもかかわらず、経済社会の沈滞に悩むとは、いったいどうしたことでしょう。アメリカに暮らし、この国の病を肌で感じていると、問題解明の一つの手がかりとして、資本主義の原点であるアダム・スミスにまでもどらなければならないのではないか、と思うことがあります。――本書より