出版社内容情報
中西 進[ナカニシ ススム]
著・文・その他
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
PAO
24
「時に、初春の令月にして、気淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫す(万葉集巻五)」…まさか万葉集が元号の原典になるとは想像もしていませんでした。この序の作者は漢籍に篤い旅人とも憶良とも言われていますが『蘭亭序』を踏まえた格調の高い名文です。「令和」が梅の花の如く文化の薫り高き時代となり、間違っても同じ巻にある『貧窮問答歌』にはならないことを心から祈ります。尚、本書は文庫本でありながら全ての歌について読み下し文だけでなく万葉仮名も表記するという画期的な本で私にとって万葉集のバイブルの様な本です。2019/04/01
T. みぃた
14
令和になって10日。本棚の奥から発掘。例の巻第五 梅花の歌をさらっと読む。初版本。2019/05/10
花林糖
14
この巻のお気に入りは額田王・大伴坂上郎女・沙弥満誓・山部赤人。万葉集の時代は大好きなので次巻以降も楽しみ。切ない恋の歌も良いけれど、遠い故郷を想う歌も好きです。一番お気に入りは第二巻112の額田王の歌「古に恋ふらむ鳥は霍公鳥けだしや鳴きしわが念へる如」。2017/01/21
ともブン
10
万葉集には約4500首が収録されており、この第1巻には906首が収められている。花鳥風月に彩られるこれらの歌にはなんともゆったりした時間の流れを感じる。 「相見ずは恋ひざらましを妹を見てもとなかくのみ恋ふるはいかにせむ」なぜ出会って恋に落ちたんだろう、どうしたらいいの?…かわいいなぁ。どうにもならないなら死にたいなんて歌もあり今も昔も恋は激しいものですね。 じっくり読めば読むほどに、訳をつけ解説をなさった方の研究の大変さが偲ばれるのだが、情報量が多く、初心者にはなかなかサラサラとは読みづらかった。2022/08/03
perLod(ピリオド)🇷🇺🇨🇳🇮🇷🇵🇸🇾🇪🇱🇧🇨🇺
6
日本史理解には和歌と仏教を避けては通れないと気づき、購入。文庫本ながら全訳注原文付が売り。しかしこの中西氏、30ページにおいて「元来女帝は正規の天皇ではない」などとのたまっている。正史である『日本書紀』『続日本紀』に「××天皇」と記されているにも拘らず、一体何が「非正規」だというのか、学者としての良識を疑う一文だ。「女が天皇になるわけが無い」という後世の男尊女卑観を検証もしないで当て嵌めている。尤も、この人以外でも日本の歴史学者の史料的根拠もない主張が定説化することすらあるので、用心しなくてはいけない。2012/12/10




