出版社内容情報
【内容紹介】
昭和20年4月7日、世界最大の不沈戦艦と誇った「大和」は、米国の強襲により徳之島洋上で轟沈した。――その碇泊・出港から自爆後の生還までを、格調高い文語体で綴った鮮烈な一大叙事詩。不朽の戦争文学の新装版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ベイス
87
各書でしばしば引用される本書。終戦直後わずか1日で書き上げたという。政治思想的・歴史総括的な立場は脇にやり、「ありのまま」を書くことでしか、この壮絶な体験を自分自身の中に置くことができなかったのだ、という著者の誠実な姿勢に感銘を覚えた。カナ遣いの自問自答が乗組員たちの「万感」を伝えてくれるのだ。伝聞エピソードで事実と異なる部分があるのでは?との議論もあるようだが、そういった混沌がまた戦争のリアルを伝えているようにも感じる。生死の淵にいるときにもアメリカの戦略の巧みさを観察する著者の姿勢が特段印象深い。2024/03/01
Masabumi Shirai
4
昭和20年4月7日、世界最大の不沈戦艦と誇った『大和』は、米軍の強襲により徳之島洋上で撃沈した。ーその碇泊・出港から自爆後の生還までを、格調高い文語体で綴った鮮烈な一大叙事詩。不屈の戦争文学。 現代は死を目前としないことで、覚悟なき日常を過ごすことに疑問がない不幸を負う時代となっている。覚悟となんなのか、それを問われる書物である。2020/02/26