内容説明
ドイツという「キリスト教国」から来た著者が、キリスト教徒でもない多くの日本人がクリスマスにエキサイトする姿に驚き、その理由を探ろうと文献を博捜してまとめた、初めての日本におけるクリスマス通史。「クリスマス」という特別な夜、戦国時代には、教会で演じられた宗教劇に多くの民衆が感動の涙を流し、対峙する織田信長と松永久秀両陣営のキリシタン武士が、敵味方なく教会に集って祝った信仰の純粋さ。江戸時代、出島の阿蘭陀冬至で出された料理に仰天した大田南畝。明治時代、お雇い外国人が設けたパーティーに列席して沈黙する福沢諭吉・森有礼ら、森鴎外や夏目漱石ら留学生が持ちかえったクリスマス文化、元南町奉行所勤めの若者が演出したクリスマス祝賀会から帝国ホテルでの舞踏会などなど、華やかで愉快な外国文化・クリスマスが、年中行事のひとつとして現代に受け入れられていくまでの足跡をエピソードで綴る。何気ない素顔の日本の姿がここに描き出されている。
目次
はじめに
第1章 ナタラの時代
第2章 幕末・明治
第3章 日清戦争から日露戦争へ
第4章 大正・昭和初期
第5章 戦時下
第6章 戦後から高度成長期へ
終章 クリスマスの魅力