内容説明
最後の武士道に生きた男、乃木希典。文人を志した泣き虫少年は長じて軍人となった。軍旗喪失の汚名挽回のため常に陣頭に立つ指揮官と、勇敢な将兵たち。だが自らの面白と多くの部下の犠牲の狭間で乃木の苦悩は深まる…。
感想・レビュー
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金吾
23
乃木将軍の生涯を暖かい筆で綴ったような一冊です。明白な事実以外は多種多様な解釈が出来るのが小説の面白さかなと感じます。あとがきが面白かったです。2023/05/12
BIN
5
司馬遼太郎により愚将のレッテルを貼られた乃木希典について描かれた作品。少年期から文学の道に進みたかったのに、父が許さず軍人として生きる羽目になった不運な男。気に入られて出世街道まっしぐらなものの、西南戦争で旗を奪われるという失態したことで自暴自棄になっている感じがしました。愚将というか部下を信頼し、一途な普通の将軍だと思います。日露戦争は大本営もひどいと思ってましたが、それ以上に参謀本部と乃木の参謀の見込みの甘さがひどいという印象です。奥様は姑や夫にもある意味ひどい扱いされたのに一緒に殉死なんて。。。2025/05/12
トントン
4
司馬遼太郎の『殉死』に複雑な思いを持ちつつ書かれ、司馬氏の死後に出版された。『殉死』から世間に広まった乃木希典に対する嘲笑に、作者の古川薫は黙っていられなくなったという。私は乃木贔屓でもアンチ乃木でもないが、『漂泊者のアリア』『三弦の志士』などで感じた古川薫の人間観、優しさが好きで、それはこの作品でも十分感じられた。2018/01/28
グランくん
0
乃木希典の生涯をつづった物。 二代前に、藩医から武士に取れ立てて貰った恩から、息子を武士として厳しく育て、それに盲従した母により親の愛を受けなかった子供時代を過す。 自分は、武より文に才があると思い申し出るが、許されず武士と、軍人として生きた生涯が描かれております。。 司馬遼太郎を読んで育った世代からすると、文へ行けばよかったのに。。。という内容かと思ったが、これへの真っ向から異議を唱える内容で、乃木の指揮は理に叶った物で、参謀本部等の対応がまずかったという擁護する内容でした。2023/12/14
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