内容説明
福島原発事故による放射能汚染に対して、これまでにない規模で農作物の“風評被害”が広がった。しかし、動揺と諦めのなかでも、農家たちの再生への試みはすでに始まっていた―。10件の農家、販売者ルポを通して見えてきた、報道には表れない本音と被害の真実。そして、危機に対して何をすべきなのか、農業の「安心・安全」を守る提案も収録。
目次
第1章 ルポ・農家たちの決断と取り組み(「安全・安心」の根拠を得るために、あえて畑を一度潰す―茨城県那珂市の有機農家・和知健一さん;収穫までの猶予期間に対策を練り、安定供給を目指す―福島県福島市の果樹農家・阿部剛さん ほか)
第2章 広がる“風評被害”の波紋(出荷ストップは素早く、再開は慎重に判断―有機・無農薬野菜の宅配事業者「ミレー」代表取締役・早川世治さん;海外サイトで、売上げを義援金に回す取り組みを実施―宇治茶生産販売業「京都おぶぶ茶苑」副代表・松本靖治さん ほか)
第3章 現場では何が問題だったのか(風評被害はなぜ起こったのか;風評被害を抑えるためにどんなことをしたか ほか)
終章 消費者と生産者を危機から守るために(まず白黒を明確にすることが必要;判断基準を出してきちんと監視する ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ロッキーのパパ
10
1章と2章のルポ編が良かった。原発事故による風評被害でショックを受けるだけではなく、自ら切り開こうとする農業経営者たちがいるのは、希望が持てる。ただ、こうした積極的な人は少数派だと思うので、マスコミが風評被害に悩む農家の人たちを映し出すのも分かる気がする。この本に出てくるような農業関係者が地域をひっぱて行くようにならないとダメなんだろうな。3章の提言は「XXがないから、XXをする必要がある」と言う感じで、目新しい主張がなくちょっと物足りなかった。2011/09/21
石塚 哉史
0
前半は、生産者や販売側が風評被害とどのように対応したのかを多くの現場からルポ。中盤、後半は政府やマスコミ、農協の対策に関する批判を色濃く描写。最後に雨と傘の例えで食の危機から、政府が国民に何をするのがベターなのかというのはわかりやすく感じました。2013/06/21
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