内容説明
生まれて真っ先に渇望したのは肉だった。ある朝、私は乳を吸いながら母の乳房を噛みちぎろうとしたという。あの日、厨房で何があったのか―。独房で綴られる、天才シェフの数奇な運命。母親への執着と父との確執、そして師匠との関係を経て辿り着いた、人を意のままに操れるという究極のレシピとは…?満を持して放つマドセン最大の問題作。
著者等紹介
マドセン,デヴィッド[マドセン,デヴィッド][Madsen,David]
そのスキャンダルな作風ゆえか、ロンドン生まれでローマに長いこと留学していた哲学・神学者という以外、本名や詳しい経歴は謎のままにされている。デビュー作『グノーシスの薔薇』は非常に話題になり十以上の言語に翻訳され、各地で評判を呼ぶも、それ以上の物議を醸した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
235
【原書】なんたるヨーロピアンデカダンス。そしてグラマラスなオーランドの人生。ここにあるのは、食欲でも性欲でもない、彼の自己顕示欲だけ。ラストそう来るかのミステリーも交えつつ、彼のユーモアを楽しませてもらった。「私のwillie wonkieはどこ?」(笑)2017/03/19
harass
65
読メユーザーのレビュから気になり借りる。露悪的でかなり下品でときおり爆笑してしまった。表題と内容にズレを感じるが、原題の「肉喰い(a Flesh eater)の告白」だとわかりにくいからだろう。殺人容疑の天才料理人の獄中回想録で始まり、変態どもの共演と意外な結末。悪乗りすぎる語り描写にニヤニヤしてしまった。『ロリータ』を連想。挿入される肉レシピが美味そうだ。この匿名作家のほかの作品も読みたいと調べるが、デビュー作『グノーシスの薔薇』はG1000冊の一つのようだ。広くおすすめはしないが悪趣味を楽しめる人に。2017/03/17
GAKU
61
「生まれて真っ先に渇望したのは肉だった。ある朝、私は乳を吸いながら母の乳房を噛みちぎろうとしたという。」天才シェフオーランド・クリスプの独房の中での手記を中心に、所々彼の精神科医バッレッティの診断報告が入る。カニバリズム、ホモセクシュアル、SM。食欲と性欲とエディプス・コンプレックス。懇意にさせていただいている読友さん達が読みたい本に登録されているので、ここでは詳しい内容に関するレビューは遠慮させていただきます。怪書?奇書?読む人を選ぶだろうけれど私には面白かった!⇒ 2017/03/09
ユミコ
46
読友さんの間で話題になり図書館で借りてきた。正直、ただグロイだけの小説なんだろと思ってたが、いやいや、しっかりミステリー?かなり内容は面白かった!どんでん返しもありで大満足。料理のレシピは美味しそうだけど…怖い怖い(笑)もっとグロい描写があるかと思ったがかなり控えめ。性描写もこれくらいなら全然大丈夫だった。再読したらまた色んな発見があるかもと思わせる1冊だった。2017/04/02
紅はこべ
39
この作家の作品は『フロイトの函』を読んだことがあるが、あれも気持ち悪かったような記憶が。本作は一種の芸術家小説なんだろうが、エログロ満載。決して食事しながら読んではいけません。作中のレシピ、最初は本当に美味しそうで、レシピとしては本物かと思わせるのだが、途中からレシピ自体に不穏な気配が。文字通り〈人を食った〉小説です。『グノーシスの薔薇』が【ガーディアンの1000冊】に載っているが、読むのは当分後回し。この作家を続けて読むのはしんどい。2015/07/23