内容説明
昭和73年、世紀末的風潮が色濃く影をおとす東京に、いよいよ帝都崩壊の野望を実現すべく加藤保憲が本格的活動を開始した。コンピューターを駆使し決死の闘いを挑む大沢美千代、団宗治。また、魔人加藤の前に立ちふさがる土師金鳳。遷都に全力をかたむける破滅教の角川春樹。一方、鳴滝純一が執念をかたむける銀座煉瓦街も徐々に完成し、辰宮由佳里を現世に呼び戻してしまう。そして、帝都を襲う大地震―。海竜が目覚めたのか、鳴滝の執念の仕業か?書下しサイキック伝奇ノベル第9弾!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヨーイチ
38
執筆は昭和の後期。昭和天皇がかなりヤバイ方法で長寿を保っているって設定が面白いというか酷い。世紀の変わり目辺りで践祚、遷都が実行され「東京」は捨てられるって芳ばしい計画が権力者の側からチラリホラリ。この小説は各巻書下ろしなので、途中で崩御があったらどうするつもりだったのだろう。結果としては昭和の内に完結したのだが、その二年後に昭和は終わる。色々と想像を刺激する話ではないか。2019/05/14
花乃雪音
11
本作の初めでは脇役にすぎなかったが生き残った鳴滝や三島由紀夫が転生した大沢美千代が魔人加藤保憲と最終対決するメインをはるのかと思いきや急遽登場した新キャラ土師金鳳という土師氏の末裔が戦うことになるという。読者に思い入れがない人物をラストバトルにもってくるのはいかがなものだろう。2020/08/08
takeakisky
0
引き続き昭和七十年代。これ読んで、昭和もいつか終わるのかもしれないとはじめて気づき、はっとした中学生の自分。相変わらず、無くなってしまった建物が気になるところだが、コンワビルはまだあるね、たまに健在のビルがあると嬉しくなる。コンピュータ入神法、コンピュータ魔除け。ここは、昭和62年の常識で書かれている。もしコンピュータの驚異的進歩を的確に予測して物語に組み込んだとしたら、荒唐無稽もいいところだろう。当時は、ふうんと思ったが、今は、ふふっとなるところ。そして衝撃の、あとがきに名を借りた結末の予告。2025/01/05