出版社内容情報
わくわく、どきどき、ふわふわ――。感覚を伝える擬音語・擬態語「オノマトペ」。その古典から現代に渡るまでの使用例を挙げながら、言葉の意味の変遷をたどり、曖昧な意味の根本にある共通点を解き明かしていく。
内容説明
「わくわく」「からから」「ぞっ」―。日本では長い間、豊かな擬音語・擬態語が微妙な感覚を伝える言葉として機能してきた。そして、そのひとつひとつの言葉の用法は、時に幅を広げ、時に姿を変えてきた。いったいいつ、どんな意味でそのオノマトペが使われてきたのかを知れば、先人たちの抱いた感覚をつぶさに知ることができる。『万葉集』から夏目漱石の『こころ』まで、さまざまな用例をたどり言葉の深淵へといざなう新日本語論。
目次
オノマトペの意味変化―イントロダクション
いらいら
うか うっかり
からから がらがら
かん かあん がん があん
きりきり ぎりぎり
さくさく ざくざく さっくり ざっくり
ぞっ
どきどき
のたり のたのた のろのろ のろい
はたはた ばたばた ぱたぱた
ふわふわ
ほのぼの
むかつく むかむか
めろめろ
よよ
わくわく
著者等紹介
小野正弘[オノマサヒロ]
明治大学文学部教授。1958年岩手県一関市生まれ。東北大学大学院文学研究科国語学専攻所要単位取得済中途退学。専門は国語史(語彙・文字)。鶴見大学文学部教授を経て、現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tadashi_N
29
オノマトペという言葉はフランス語だが、実際にオノマトペがあるのは日本語だけ。擬音語起源ばかりではない。2021/08/09
izw
14
オノマトペは擬態語・擬音語の総称であり、日本語にはオノマトペの基本要素に「っ」「り」「ん」を付けたり、繰り返したりすることで組織的に細かなニュアンスを追加するシステムがある。本書では、「いらいら」から「わくわく」まで16節にわたり、30語あまりのオノマトペについて、古代から近代までの様々な文学作品に現れる用例を追って、オノマトペの意味の変遷を紹介している。今使っているオノマトペが何時からどんな経緯で今の意味になったかが面白い。「わくわく」が期待感を含むのは大正以後であり、漱石も古い使い方なのは意外だった。2015/10/18
海星梨
8
前読んだ角川ソフィア文庫のが総論、こっちは詳論って感じ。角川ソフィアの方が面白かったけど、こちらは意味変化を追っていく内容でオノマトペ一語一語と仲良くなれるような感じ。昔の意味も全くピンとこないものもあるけど、前後の言葉をちゃんと丁寧に関連づけたら現代でも理解されるものもある。あえて昔の意味を使って文章を彩るのもありかも? と思うなど。2023/01/06
和草(にこぐさ)
7
今と昔では同じオノマトペでも、意味が違っていたりする。むか+つく=むかつく。いら+つく=いらつく、成る程ね。意味を知り使い方も考えて使いたい。2015/12/09
endocco
4
小野先生の本領発揮。用例の読み解きが圧巻である。気づかぬうちにオノマトペに寄りかかって解釈していたことが恥ずかしい。この絶妙な意味の変化に反応できる感度を維持したい。ほかにも意味変化しているオノマトペはあるだろうか。自分でも探してみよう。2015/09/30