内容説明
西方の名も知れぬ神であった八幡神は、大仏建立を契機に突如入京し、仏と日本の神々をつなぐ新しい国家神となった。その後も、道鏡事件、空海・最澄の新仏教、承平・天慶の乱の平定、摂関政治の確立と、その時代時代の政治や宗教政策に深く関与し変身を遂げてきた。まさに「時を生きる国家神」であった。本書は、その八幡神の謎に迫る。
目次
第1章 鎮護国家の神の出現(八幡神の登場;神と仏の遭遇;鎮護国家の神への道)
第2章 仏に帰依した神(菩薩皇帝聖武と八幡神;大菩薩への道)
第3章 神仏習合と御霊(薦枕の成立と託宣の凋落;応神霊=八幡大菩薩の成立と展開)
第4章 八幡宇佐宮と八幡石清水宮の統合(宇佐宮弥勒寺と王城鎮護石清水八幡宮;宗教権門としての八幡宮寺の成立;権門八幡宮寺の展開)
著者等紹介
飯沼賢司[イイヌマケンジ]
1953年長野県生まれ。早稲田大学大学院文学研究科後期博士課程(日本史)退学。日本古代・中世史専攻。別府大学文学部教授
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感想・レビュー
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nori
5
This book answered me the nature of 八幡神 who came from western frontier of 倭 and a first example of merge of Japanese animism and Buddhism. However, I still wonder why Empress 称徳 asked 宇佐 instead of 伊勢. Is 記紀 historical view generated by 持統 so weak? 2018/03/13
ひよピパパ
5
八幡神とは何か、分かりやすく解説してくれる書。仏教と密接に関わって、ダイナミックに変身を遂げるさまはもうビックリ。他の神々とは明らかに違うその特異性の謎に魅せられてしまう。東大寺の大仏鋳造や道鏡事件など、日本史上の大事な局面にも八幡神が関わるのだが、本書はその経緯などが丁寧に解説されていてとても勉強になった。2017/03/21
misui
2
鎮西の軍神から始まり、仏に帰依した国家神、そして石清水八幡宮との関係など、政治色の強い神としての軌跡を見ていく。昨今の宇佐宮司の後継争いを見るにつけ、基本的には現在も同じ性格を持っているのではないか。和気清麻呂が英雄視されがちな道鏡事件を違った角度から見れたのはよかった。2009/08/08
わ!
1
八幡宮の主祭神は応神天皇である。そしてこの八幡宮の総本社は大分県にある宇佐八幡宮である。ただ応神天皇の都は、奈良県の軽島豊明宮とされている。ここに八幡宮の総本社が祀られていているのなら話は解る。ただ応神天皇の御陵は、大阪の古市古墳群にある。ここに八幡宮の総本社が祀られていているのなら話は解る。けれども八幡宮の総本社は大分県にある宇佐八幡宮なのである。なぜこんなことになっているのか…つまり八幡宮の主祭神を「応神天皇と神功皇后」とするのを疑ってかからないといけないわけである。だからこんな本があるわけである。2013/06/17
takao
1
ヤマト国家の西の境界である大分県宇佐に出現した。神仏習合。2021/06/02