歌集 噴水塔

加藤 治郎【著】

ＫＡＤＯＫＡＷＡ（2015/01発売）

• サイズ B6判／ページ数 147p／高さ 20cm
• 商品コード 9784046529329
• NDC分類 911.168
• Cコード C0092

出版社内容情報

円熟期を迎えた「ニューウェーブ」の旗手の第９歌集。モダン都市の噴水塔が現代短歌を未来へ誘う。〈しんそこほしいさみしいすみか霜月の女生徒の弾くパイプオルガン〉

【著者紹介】
１９５９年名古屋生まれ。「未来」選者。「口語は前衛短歌の最後のプログラム」と宣言。口語短歌の改革者として意欲的な試みに取り組み、「ニューウェーブ」の旗手と称せられるようになる。２００５年毎日歌壇選者就任。短歌研究新人賞選考委員。８８年第一歌集『サニー・サイド・アップ』により第32回現代歌人協会賞受賞。歌集に『マイ・ロマンサー』『昏睡のパラダイス』『環状線のモンスター』『しんきろう』他、著書に『短歌のドア』他。朝日新聞東海歌壇選者。

内容説明

混沌とする世界を切り開く光。モダン都市の噴水塔が現代短歌を未来へ誘う。生の根拠を探る加藤治郎迫真の第九歌集。

目次

１（夏の集会；メディシン；あしあと；廊下の果て；お菓子工場にて　ほか）
２（風船；道；ヌル；白；ミッションスクール　ほか）

著者等紹介

加藤治郎［カトウジロウ］
１９５９年名古屋市に生まれる。１９８３年未来短歌会に入会、岡井隆に師事する。１９８６年「スモール・トーク」にて、第２９回短歌研究新人賞。１９８８年『サニー・サイド・アップ』にて、第３２回現代歌人協会賞。１９９９年『昏睡のパラダイス』にて、第４回寺山修司短歌賞。２０１３年『しんきろう』にて、第３回中日短歌大賞。未来短歌会選者。毎日新聞毎日歌壇選者。朝日新聞東海歌壇選者（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー

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[名古屋ケムンパス]

初めて手にした名古屋市出身の歌人による歌集です。書名の「噴水塔」は名古屋人のこころのふるさと「鶴舞公園」にあります。（公園内には百年の歴史を経た茶屋があって、ここの「田楽」は絶品で桜の季節の風物詩です。）短歌のことは何もわかりませんが、お気に入りの歌を記しておきます。お題は『お菓子工場にて』（明治製菓のチョコレート菓子「アポロ」の工場のようです）…「白い帽子のアポロ主任が見つめてるちっちゃなチョコの万の整列」、「『火星人やんか』と迫る見学の小学生はひっぱたいてやりてえ」…

2015/05/31

[June]

2012年〜2014年の歌。気になる歌をノートに写してみた。3ページ半。以下に好きな歌。「窓を打つ雨粒の音ききながら次の指令の切片を待つ」「びうびうと熱風の吹く街を行くぶん殴られてわたくしの顔」「夜よりも朝は甘くてささやきの羽根はふたりの耳を行き交う」「定型からこぼれた文字くろぐろと液化している あなたの前に」「紀伊國屋詩歌の棚の前で待つ話がしたいそんな木曜」

2015/04/14

[太田青磁]

定型に閉じこめられた音韻はなにも救わずゆうぐれの虹・ヒロポンの効用により働いた働いたがたがたの歯車・エクセルのセルの色合い迷いつつ暗澹と塗るパステルカラー・膝に鞄をのせて報せを待っているあなた方みな選別される・荒野には一本の道あらあらと３七銀は猟犬のごとし・アウェイといってもここはニッポンの詩の雑誌なり三ツ矢サイダー・しんそこほしいさみしいすみか霜月の女生徒の弾くパイプオルガン・ひらがなの流れるような雲がゆくふるえるばかりひとひらの舌・ディスプレイの数字は動くその意味を語ることなく兄弟ならぶ

2015/04/04

[華]

治郎さん、と勝手に呼んでいるけど歌は難しいんじゃないかなと思いこんでいた。割と親しみやすく、日常的に短歌に対して思ってることを詠んでいたり…社会派なのと詩情を感じる歌が極端なのかな。付箋をたくさんつけすぎたので厳選します。定型に閉じこめられた音韻はなにも救わずゆうぐれの虹／定型からこぼれ出た文字くろぐろと液化している　あなたの前に／アフロのような排水口をみていたらゾンゾンゾ、ゾンゾンゾンゾ、サンバ始まる／言葉は心に追いつくか街路樹のまばゆい路をあなたと歩む

2015/07/29

[しなの]

すきな歌いっぱいで選べないけど選んでみた。蓋に貼る一直線のガムテープ全てを閉じて今日は眠ろう　　ゆうやみをケムール人は駆けてゆくようするにみなへんな生きもの

2016/06/17