内容説明
わたしは携帯電話をもっていない。友だちがいないから。でも憧れてる、いつも誰かとつながっているクラスメイトたちに。だから、わたしは自分だけの携帯電話を想像する、すぐそこにあると思えるほど強く。その時、わたしの頭の中に着信メロディーが流れだす。それがシンヤからの初めての電話だった。さみしい気持ちが生んだ小さな奇蹟。この他「傷」「ウソカノ」を収録。小学上級から。
著者等紹介
乙一[オツイチ]
1996年『夏と花火と私の死体』で第6回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞、17歳でデビュー
SHEL[SHEL]
中国広東省深〓(せん)市出身。北京映画学院アニメ学部卒。雑誌投稿をきっかけに小説の挿絵を描き始める。北京在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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茉莉花
59
➀携帯電話を持っていないリョウは、頭の中で携帯電話を想像しているうちに、つながるようになる。繋がった相手は、1時間過去に生きていて、北海道に住んでいるシンヤと、半年未来に住んでいる原田さん。シンヤと直接会ってみることになるが…!? ②傷を自分に移動させることにできるアサトと、アサトの傷と痛みを半分受け持つことのできるオレ。そんな二人はその能力を生かしていくが… ➂ウソカノである秘密を共有している二人の物語。2022/01/23
陸抗
18
孤独や傷を抱え、自分一人ではどうにもならない状況でも、理解してくれる誰かが側にいれば、生きていける。「きみにしか聞こえない」原田さんのからくりに早目に気がつき、だからこそ、シンヤの存在がどれだけかけがえのない人だったか浮き彫りになってたと思う。「傷」自分に相手の傷を引き受けてしまうアサトが悲しかった。優しさだと主人公は言うけど、まるで自分に罰を与えてるようで。最後にあの決断が出来なければ、アサトはどうなってたか。「ウソカノ」同じ事やる人結構居そう。誰かを傷つけるわけじゃないからいいんじゃないかな。楽しいし2021/01/26
Naomi
15
初めての乙一さん本。「きみにしか聞こえない」は面白い設定でいいな~って読みました。ただ、死が軽く感じられてちょっとだけモヤッっとしました。「傷」切なく辛くなったけれど、最後はよかった。2人の絆にじ~んとしました。「ウソカノ」ウソはドキドキするけれど、想像力が刺激されていいです。2017/07/17
ずっか
14
小学生の娘が読んでもいいかな~と思い購入した本。初めての作家さんで前知識もなしでしたが、ちょっとファンタジーちっくで中学生の私が読んだら好きだろうな~と思いました。もちろん今読んでも面白かったので、他の作品も読んでみたいな❤️2019/08/04
ながのゆうこ
8
孤独や抱えきれないほどの深い傷も分かち合う人がいれば乗りこえてゆける、そんなメッセージを感じる作品でした。切なくそして暖かくファンタジックな手法も素敵でした。2017/11/25