出版社内容情報
永遠の女性ベアトリーチェと再会し、九つの天を昇りはじめたダンテ。星々の光が饗宴する中、天上の至高天でついに神の姿を捉える??第3部。「文学の枠を超えた、表現の怪物」(中沢新一/本書エッセイ)
内容説明
天国への入り口に立ったダンテは、ベアトリーチェとともに九つの天を昇りはじめた。地獄と煉獄を経て湧いた疑問を語る彼に、ベアトリーチェや聖なる魂が優しさと厳しさで神の真理を説く。やがて祖父カッチャグイーダの魂から、地上で待ち受ける追放と流浪の運命を知らされるのだった。星々の光が饗宴する中、天上の至高天へとたどり着いたダンテは、ついにその目で神の姿を捉える。第三部「天国篇」。
著者等紹介
アリギエーリ,ダンテ[アリギエーリ,ダンテ] [Alighieri,Dante]
1265年フィレンツェに生まれる。9歳の時に出会ったベアトリーチェに恋し、その愛が彼の創作活動の源となった。公職についたのち政治活動に関わったが、当時フィレンツェで激化していた政争に敗れダンテはローマに一時滞留。そのまま汚職の罪で永久追放となり各地を放浪、二度と故郷には戻れなかった。文学史上屈指の傑作とされる『神曲』三部作は約13年をかけて執筆、完成直後の1321年、亡命先のラヴェンナで没す(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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LUNE MER
19
夜、全然寝付けなかったので煉獄編に続いてこちらを読んでいたら読み切ってしまった。…が、煉獄編に引き続きダンテへの生理的嫌悪感を引き摺ってしまったことや、睡眠を妨げる謎の精神状態など諸々の事情?により、作品世界に入り込むことはほとんど出来てなかった。天動説全開の世界観そのものには別に違和感なし。なんとなくそっちの世界観での神秘性も好きなので。老後にまた読むんじゃないかと思う。2022/04/15
Francis
12
三浦訳「神曲」再読了。三浦訳の良さはこの天国篇ではっきりとする。寿岳訳は擬古文調なので格調高すぎる。しかも天国篇はキリスト教神学が絡んでくるのでなおさら内容が分からなくなってしまってる。三浦訳は訳者がキリスト教神学にも理解が深いため解説と併せて読むことで面白く読める。「神曲」初学者にはこの三浦訳をお勧めしたい。2023/12/30
Francis
12
ベアトリーチェに導かれてダンテが天国を巡り、聖ベルナルドゥスなどの聖人と対話を交わす。壽岳訳、平川訳ではついていくのがやっとだったが、この三浦訳で面白さが分かった気がする。キリスト教世界観になじみのない日本人にこの天国篇があまり人気ないのは仕方ないかも。2016/05/11
mstr_kk
7
煉獄編のラストがあまりに凄かったので、逆に「天国編大丈夫かな」と心配していたのですが、これはこれでとんでもなく素晴らしい作品でした。至高天を目指して宇宙を昇りながら、神について語りあうダンテとベアトリーチェ。きらめく永遠の光。溢れる愛。煉獄編のようなドラマはありませんが、煉獄編ラストの楽園で始まったサイケデリアみたいなものが、濃度を増しながらずーっと続いてゆき、こっちの頭もふわふわしている感じです。未読の方が読まれるときは一気読みをおすすめします。難しく考えようと思わなければ、ものすごく分かりやすいです。2014/10/11
うちこ
5
あこがれのベアトリーチェといっしょに歩けるようになってしまったことによって、地獄篇・煉獄篇よりもダンテがふわっとしちゃってキレがない。星占いに沿ったすごろくみたいに先へ進んでいく。このふわっと感、見覚えがあるな…。天国篇のダンテは、まるで山吹みどり先生と結婚できてしまってからの則巻千兵衛のよう。 そして煉獄篇よりもバージョンアップしたベアトリーチェがすごくいい! わたしも半分ベアトリーチェ教に入信しそうな勢い。美輪明宏と叶恭子と同じカテゴリの人だと思った。2019/08/09
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