出版社内容情報
二人の気持ちは、ぴたりと重なり合っていたはずだった・・・。道三堀から深川へ、水を届ける「水売り」の龍太郎には、蕎麦屋の娘おあきという許嫁がいた。日本橋の大店が蕎麦屋を出すと聞き、二人は美味い水造りのため力を合わせるが。江戸の「志」を描く長編時代小説。
山本 一力[ヤマモト イチリキ]
著・文・その他
内容説明
道三堀から深川へ、暮らしに欠かせない飲み水を届ける水売りたちは、皆自分の仕事に誇りをもって働いている。そんな水売りの一人、龍太郎には、蕎麦屋の娘・おあきという許婚がいる。日本橋の大店が蕎麦屋を出すとの報せに、「美味い水」が必要だと思い知らされ、協力して美味い水造りを始めるが、いつしか二人の間に微妙な隙間風が吹き始めて…。人の気持ちに翻弄されつつも、せつなく凛々しい、江戸の「志」を描く長編時代小説。
著者等紹介
山本一力[ヤマモトイチリキ]
1948年高知市生まれ。東京都立世田谷工業高校電子科卒業。旅行代理店、広告制作会社勤務などを経て、97年「蒼龍」で第77回オール讀物新人賞を受賞。2002年に『あかね空』で第126回直木賞を受賞。豊かな江戸人情を描き、多くの読者を魅了する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とし
60
江戸は深川で水売りを職業と龍太郎さん、水を大切に思う気持ち、買い手の気持ちを大切に考えての仕事ぶりが気持ち良く感じられますね。 2016/02/05
UK
36
江戸の水売りの青年の物語。たまたま手に取ったのだけど、面白さに逆に驚く。ほほお、やっぱり山本さんって作品の出来が安定してるな。人物像もよく、ストーリーも面白い。単純に恋が成就するのではないところも、かえって地に足が着いている感じがして好もしい。レビュー件数の少なさにまたまた驚く。もっと読まれてもいいんじゃないかなあ。ま、図書館で借りるには順番待ちがなくていいや。この人、もっと読もう。 2018/03/30
roomy
27
未読本かと思って読んでみたら読了本でした。話を忘れていたのでまた楽しめました。2017/02/23
roomy
27
初山本一力作品。とても読みやすかったです。プロフェッショナルな仕事ぶりが気持ちいい。龍太郎には幸せになってもらいたいな。虎吉さんは儲けることだけじゃなく人のことも考えてて素敵♪2015/02/21
Kaz
24
江戸時代の江戸は埋立の街。だから井戸を掘っても塩水しか掘り上げられないため、飲み水の確保が至上命題であった。神田上水は江戸市中を通った後、道三堀から日本橋川に流れていた。上水が届かない深川方面に水を売り歩く人々が水を汲み上げいたのが、道三堀。こう聞くと水の確保は死活問題。売る人買う人それぞれに物語がある。 正直なところ、江戸時代を題材にした話は幕末以外には面白みに欠けるという印象で、この手のジャンルは敬遠していた。歴史ではなく、人間模様として読めばそれなりに面白い。2022/10/19