内容説明
北欧ミステリの女王が描く濃密な人間ドラマ。
不治の病に罹り、夫と別れて死を待つ日々を送る五十代の女性ボーディル。法律家としてキャリアを積みながら、心理カウンセラーに依存する三十歳、独身の娘ヴィクトリア。良き父良き夫であり、建築家としても成功を手にしていたアンドレアス。小さな出来事がやがて大きな波となり、それぞれの人生の歯車を狂わせていく……。
北欧ミステリの女王が人生の皮肉とやるせなさ、絶望、そしてほのかな希望を描く、濃密な人間ドラマ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白のヒメ
41
昔に同名の映画があって面白かったのを覚えていたので、原作なのかなーと軽い気持ちで手に取った本。そうしたら、その映画とは別物の新しい小説だった。なぜ、この小説の題名をバタフライエフェクトにしたのだろう。昔の映画の影響が強いので不思議に思う。家族の葛藤を描いた良い小説だと思うけれど、題名の由来が分からない。それとも、私が読み落としているだけなのか。勝手に不完全燃焼なのでした。2019/06/14
kaoriction@感想は気まぐれに
23
しんどかった。想像を遥かに超え、重く、つらかった。本作の言葉を借りれば「真剣で、深い」。語り手3人の人生が、徐々に脳内を侵食してきて、のしかかってきて。生きることの意味と、その終わりと。選ぶ道、選ばなかった道。あの日、あの時、あの時間。人生の「もしも」が少しずつズレて、辿る結末。誰にとっても、どんな人にとっても、「死」だけが共通な世界で、なぜ、自分は生きて、生かされているのか。中盤からぐいぐい、ズシズシ、人生を、頭の中を、えぐられる感覚は本当につらかった。でも、久しぶりに読書らしい読書をした感覚にも似て。2016/07/07
komaneko
18
実は、映画の原作かと思って読んだら全然違ってた…。ま、でも、作品名通りの内容といえば、その通りではある。。。が、しかし、なんだかめんどくさい話だった…。寒い土地柄なのかな? 因果応報? 回りまわって「産まれて来てごめんなさい」っつか。。。 でも「ミレニアム」と同じ国が舞台なので知ってる地名が一杯だったので、そこだけにすがって、やっと読み終われた・・・。2016/06/03
みみずく
18
ごくわずかな変化が、どこかで大きな影響を及ぼしていることを「バタフライエフェクト」と呼び、それが本作の主題。だけど、起こった悲劇がその影響なのかよくわからなかった。ただ、その原因とされることが「したこと」でなくて「しなかったこと」だというのが、ボーディルらしいと思った。そんな遠い影響より母ボーディル→ボーディル→娘の連鎖のほうがよっぽど居たたまれなくて読んでいて辛かった。2015/07/17
けいちゃっぷ
13
バタフライ効果が最初に書かれているので、それは誰かということと、それの元を探す話かと思ったら、とんでもなくビターであった。 初老の母と娘、そして二人には関係なさそうな男が主な登場人物。 それぞれに自分のことで悩んでいるので、どうしても内省的な内容になってしまうが、読みにくさの果てに少し光明がみえたような気もする。 365ページ 2017/02/20