内容説明
クリクリとよく動く尻に目を射られ、そっと後をつけた女は、同級生服部ヒロシの姉、サトさんだった。ヒロシなら、すぐ帰ってくるよ―。風呂に入っていけと勧められた鍵和田の見たものは、緑色の張りぼての風呂桶。そこに裸のサトさんが入ってきて…。ゆっくりと自分が失われていく恐怖を描く、第12回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作。
著者等紹介
あせごのまん[アセゴノマン]
1962年高知県生まれ。関西学院大学大学院文学研究科満期退学。現在、プール学院大学、佛教大学、大阪産業大学の非常勤講師。2005年「余は如何にして服部ヒロシとなりしか」で第12回日本ホラー小説大賞短編賞受賞。同作品を収めた『余は如何にして服部ヒロシとなりしか』でデビュー。大阪府在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あも
92
おもしろーい!とは、やや違うけど好き。幽霊!呪い!怖い!系のホラーって格闘技に喩えると屈強な対戦相手。カモン!しかして、本書のようなタイプのホラーは、楽勝な調整試合の最中、ふとセコンドの顔を見ると知らない人だったような二の腕がゾワゾワする感じ。逃げろ!不条理で這い寄るような不気味さは好みだが、収録作に統一感が欠けるのはややマイナス点。昔の友人の姉に誘われ家に行き取り込まれる表題作は直接的でないエロスが好み。諍いのあったまま死んだ姑の手記を読むうちに…な「克己さん~」はジワ怖感が心地よい。他2編も悪くない。2018/12/01
鱒子
53
図書館本。短編集。表題作は、世にも奇妙でシュールで不条理な面白さ。しかし、表紙とタイトルがあまりに良すぎて、出オチの感が… ちなみに内村鑑三氏の原題を読む予定は全くなし!! 「あぜごのまん」高知の方言に乗せられてサクサク読んだ、怪談 民話のような話です。他2編は凡作(申し訳ない、ハッキリ言ってしまった(汗)。2018/05/21
nuit@積読消化中
48
【日本の夏は、やっぱり怪談2023年】〈其の一・和編〉参加中です。積読本消化月間。表題作、なんともオモロエロティクなお話でした。不思議な世界観を描くのがうまい。その他の「浅水瀬」「克美さんがいる」「あせごのまん」も中々面白い。特に「浅水瀬」は寝しなに読んでいてゾクゾクしました。2023/07/12
ジンベエ親分
40
4編から成る短編集。表題作が日本ホラー小説大賞の短編賞をとったらしい。シュールというか不条理というかワケが分からないというか、読んでる自分も狂いそうで怖い。「浅水瀬」は唯一分かりやすい話だけど、その分怖さは軽めかな。著者は同年代なのだけど、NS400Rという絶妙に渋い車種を出してきたあたり、侮れない(笑) 「エピタフ」でも主人公がオートバイに乗っていたなぁ。あれは明記はされてなかったけど、多分SR400なんだろうなぁ。「克美さんがいる」も怖い。でも何と言っても「あせごのまん」の土佐弁が怖いったら…2018/04/07
たぬ
33
☆4.5 6年半前に読んだ『エピタフ』が3点止まりだったからこれはどうかな~と思いつつ読んだのだけど。なんだよ面白いじゃん! 電波系、民話系(現代版)、認知系、民話系(昔話版)とホラーのタイプも様々で楽しめた。最も良かったのは「浅水瀬」。同じ話を延々繰り返す老婆がイライラ通り越して怖すぎ。2021/06/06