内容説明
日系自動車メーカーのイラン工場建設のため、一億五千万ドルの巨大融資案件がもちあがった。大手邦銀ロンドン支店次長・今西は、国際協調融資の主幹事(トップ・レフト)を獲得すべく交渉を開始するが、かつての同僚で日本を捨て、米系投資銀行に身を投じた龍花が立ちはだかる。そこに突如、世界を揺るがす敵対的買収が…。弱肉強食の国際金融の現場を余すところなく描いた衝撃のデビュー作。
著者等紹介
黒木亮[クロキリョウ]
1957年、北海道生まれ。カイロ・アメリカン大学大学院(中東研究科)修士。都市銀行、証券会社、総合商社英国現法プロジェクト金融部長を経て、作家。2000年、『トップ・レフト』でデビュー
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感想・レビュー
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baboocon
20
1990年代後半の国際金融市場を舞台にした経済小説。邦銀でエリート街道を歩んでいるものの、腐った官僚的組織に疑問を抱いている今西。同じ邦銀時代に散々泥水を啜らさせれるような扱いを受け、古巣への復讐心を抱きながら投資銀行に転職して荒稼ぎする龍花丈の対比が印象的。シンジケート・ローンの組成を巡る金融ビジネスの丁々発止の描写はさすが著者自身が元国際金融マンなだけある。それぞれ再出発することになった二人のたどる結末までも対照的で、特に龍花は・・・なんともやるせない。2020/02/29
Aiichiro Nakajima
19
難しかったぁ? 株式や債券については少しづつ関心をもっていきたいと思います?2017/12/02
くらびす
19
金融述語が飽和寸前までにポンポン飛び交う様が心地よくテンションがあがります。意地だったり、職への幻想だったり、いい意味での卑近さもシンパシーを獲得できてよろしい2014/09/04
ブリーゲル
18
スリリングで面白かった。一方若干難しい用語があり読破に時間がかかってしまった。2014/12/15
soriiieee
12
日米の投資銀行に勤務するバンカー2人がメインの物語。「金」に群がる人、権利、思惑が妙にリアル。いや、リアルすぎて寒気がするほど。著者がもともと国際バンカーということで納得。厳しいせめぎ合いの中、最後の幕切れもあっけない。結局「投資」を制するのは銀行じゃなく・・・という話。2020/07/04