内容説明
「戸村の声がかすれて、低くなる。『永倉、おまえ、やめるか?』身体が震えた。ずっと考えていたことだった…」強豪校・横手との練習試合で打ちのめされ、敗れた巧。キャッチャーとして球を捕り切れなかった豪は、部活でも巧を避け続ける。監督の戸村はバッテリーの苦悩を思い決断を告げる。キャッチャーを吉貞に―と。同じ頃、中途半端に終わった試合の再開を申し入れるため、横手の天才スラッガー門脇と五番の瑞垣が新田に現れるが!?三歳の巧を描いた文庫だけの書き下ろし短編「空を仰いで」収録。
著者等紹介
あさのあつこ[アサノアツコ]
1954年岡山県に生まれる。青山学院大学文学部卒業。『バッテリー』(教育画劇)で野間児童文芸賞、『バッテリー2』で、日本児童文学者協会賞、『バッテリー1~6』で小学館児童出版文化賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
172
キレモノ瑞垣登場。葛藤真っ最中の巧と豪を引っ掻き回す(ついでに当方も引っ掻き回されています)姿は一見悪者に見えますが、実は最高のメンターであることが垣間見えます。そして、本書からは巧と豪の物語だけではなく海音寺、門脇、そして瑞垣の物語も始まったような予感がして、次巻が待ちきれません!2020/07/19
再び読書
105
豪の立ち直りの巻。タイトル通り巧と豪でバッテリーであるが、今まで巧に割かれる内容の方が多かった。特に豪腕・自己中・不器用な巧、に対して包容力のある・人に温かい・辛抱強い豪との対比が大かったが、とうとうやはり思春期の豪も不安に押しつぶされそうになる。でも大方の予想通り再び元の鞘に納まる。その他の門脇や瑞垣の横手の選手たちも絡み、物語はまた大きく動き出す一休みの巻に感じた。2012/12/10
ALATA
103
川土手の空き地で始まる強豪、横手との対外試合。門脇との真剣勝負に腕がしなる。伏兵に足元をすくわれ、豪との関係もギクシャク、どうする巧?といったところ。それにしても、これ、中学生の会話?大人顔負けの心理戦には児童文学としてはちょっと難しいかなぁ。お調子者の吉貞くんが中坊らしくて良かった★3※“洋三さん,巧を守ってやってくださいよ“文庫書下ろしの「空を仰いで」。聖名子ばあちゃんの言葉にジーンときた。2024/01/18
優希
88
心が痛みます。試合でキャッチャーの役目を十分にこなせなかった豪。それがきっかけとなり、自分の野球と巧とのバッテリーについて悩む姿が刺さりました。自分のやり場のない想いに巧を避けてしまうのも辛かったです。でも、本当は難しいことを考えずに野球に打ち込めればいいのでしょうけれども。2018/09/18
Willie the Wildcat
82
心底と覚悟を問いかけた一球。1人1人形は違えど、辿り着くまでの過程が身近に感じる。そして、視点を変えることでの気づき。心をワクワクさせるのは何か!三角ベース、小学校の頃を思い出す。但し私は剣道少年だったけど・・・。それにしても青波と吉貞の存在感が光る。加えて、巻末の書き下ろしの聖名子から洋三への言葉も心に響く!如何なる”転”となるか、次巻も楽しみ。それにしても、朝のランニングですれ違う老人が意味深。何者だろう?2017/08/24