内容説明
家のため郷里のため、芹生の家に嫁いで二十年。柚喜は夫に物足りなさを感じつつも、商家のお家はんとして、四男一女の母として、平穏な日々をおくっていた。そんな中、実家からもたらされた知らせが柚喜の日常に思いがけない波紋を起こす。かつて思いを寄せあい、今は妹の夫である壮児が、思想犯として特高警察に検挙されたという。荘児をめぐる過去の確執に姉妹は苦悩し、激しい修羅の場へ導かれていく…。川の流れに翻弄されながらも懸命に生きる女たちを描く、『をんな紋』第二部。
著者等紹介
玉岡かおる[タマオカカオル]
兵庫県三木市生まれ。神戸女学院大総合文化学科卒。2年間の教師生活を経て、執筆活動に。’87年、処女小説『夢食い魚のブルー・グッドバイ』で神戸文学賞を受賞
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感想・レビュー
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葉芹
5
千代はどんな女性となるのだろう。洋服のデザイナーか。佐喜の手のつけられないやりっ放しには唖然。いつもいつも姉の柚喜が立ちはだかっているんだろうな。紘一は多分戦死。氷菜ちゃん幸せになって欲しい。2012/03/12
ゆみちゃん
3
どの登場人物のどの立場にしても…感情描写がするどく引き込まれるように読破しました。親子、兄弟、夫婦、親戚、…様々な人間関係。どのように暮らしていてもあらがうことの出来ない、大きな川の流れに身を委ねるしかないようなことも人生には起こる。それでも人は生きてゆくのだと。2012/03/28
キムチ
2
一人ひとりに力を込めて書いているのだろうが、愛情を持てない。条理を乗っ取る人生を歩んでいても、やむを得ない事情が多いはず。それを気力で突き進むのに、魅力がわかず、いまいち。2010/08/15
emi
2
読み応えありました。女性として、また母と息子、娘とのつながりが深く描かれた作品。2010/05/19
マンゴープリン
1
望まぬ結婚をした荘司が抜け殻のようになってしまったのが哀れ。だからこそ氷菜の願いを叶えようとする気持ちが沁みる。封建制度の象徴ともいえる津多が逝き、時代の流れと共に女が関わる「家」の在り方も変化を余儀なくされていく。2015/08/28