内容説明
母が亡くなり無人となった実家の床下から古い人骨の入った骨壷が見つかった。壷にはなぜか「私」の生年月日が記されていたという。警察に呼び出され、故郷へと向かった私。いったい誰の骨なのか?哀しいまでの親心が胸を打つ表題作「私の骨」をはじめ、「ゆきどまり」「醜骨宿」「髪の森」「ささやき」「おそれ」「奇縁」の計七編を収録。さえわたる恐怖の中に人間の本質を問いかける、珠玉の小説集。
著者等紹介
高橋克彦[タカハシカツヒコ]
1947年岩手県盛岡市生まれ。美術館勤務を経て、83年『写楽殺人事件』で江戸川乱歩賞を受賞、デビュー。その後、『総門谷』で吉川英治文学新人賞、『北斎殺人事件』で日本推理作家協会賞、『緋い記憶』で直木賞、『火怨』で吉川英治文学賞をそれぞれ受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mocha
83
幽霊あり土俗信仰ありサイコ風味ありのホラー7篇。怖さよりも話の巧みさにぞくぞくした。床下から自分の生年月日が記された骨が…「私の骨」失踪した友人を探して山中をさまよう「髪の森」怪談を披露し合う夜、最後の語り手が!「おそれ」どの話もさすがの構成。こういうソフトな怪談が読みたかった。2019/08/06
はらぺこ
54
短編集。色んなタイプの怖い話が7つ。妖怪とか幽霊も怖いけど人間のが一番怖かった。 「座敷牢」って実際に見た事は無いけど何か怖い。その中に和服の女性が居たら怖さ倍増。この本には出てないけど「土蔵の蔵」も何か怖い。でも「土蔵の」が無かったら意外に平気。 2012/01/23
こばまり
43
ぞわりと怖い。嗚呼ヒトが怖い。東北という土地が素敵に怪異に描かれている。「ドールズ」シリーズを再読したくなった。2018/01/31
ntahima
42
第6話『おそれ』。死に纏わる百物語。それでは私も一席。学生時代、友人の住むアパートに向かう道すがら異様な一軒家に遭遇する。全ての雨戸を閉め切り外から板を十文字に打ち付けていた。何かが這い出て来るのを防ぐかの様に。その夜そのネタで怪談をでっちあげ酒の肴にした。後日、別の友人とその界隈をぶらついていた時、怖がらせようと思って、その家を探したが見つからない。すると、ふと線香の匂いが。匂いを追って進むと取り壊された家の跡地が現れ、玄関のあったと思われる場所に卍を刻んだ石塔が立っていた。線香の匂いは ((゚m゚;)2012/06/22
ちょん
25
高橋克彦さんの作品、何故か苦手意識があったのですが…いざ手に取って読んでみたらめちゃくちゃ面白いことに気づいた大晦日。「おそれ」が面白怖すぎる✨こんな寒い日に読むんじゃなかったと思うくらい怖いお話したち。2020/12/31