出版社内容情報
中国歴史伝奇小説の傑作、ここに開幕!
唐の長安に遣唐使としてやってきた若き天才・空海と、盟友・橘逸勢。そこで二人は、役人・劉の屋敷に取り憑いたうえ、徳宗皇帝の死を予言した、妖しい猫の化け物と対峙することに……。
内容説明
盟友・橘逸勢らと共に、遣唐使として長安に入った若き僧・空海。密教の真髄を「盗みにきた」と豪語する空海は、ありあまる才で多くの人を魅了していく。一方長安では、奇怪な事件が続いていた。役人・劉の屋敷に猫の化け物が取り憑き、皇帝の死を予言したという。噂を聞いた空海と逸勢は、劉家を訪れ妖猫と対峙することに。その時から2人は、唐王朝を揺るがす大事件にかかわることになる―!中国伝奇小説の傑作ここに開幕。
著者等紹介
夢枕獏[ユメマクラバク]
1951年、小田原生まれ。東海大学卒業。『上弦の月を喰べる獅子』で第10回日本SF大賞を受賞、『神々の山嶺』で第11回柴田錬三郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nuit@積読消化中
137
やはり夢枕獏は面白い!まだ巻ノ一での物語は序盤ですが、のっけから妖物が現れるし、空海と橘逸勢の掛け合いが、陰陽師の安倍晴明と源博雅のようで微笑ましい。またシルクロードの起点ともされる長安の都は想像するだけでもワクワクする。それを6年の歳月をかけて超巨大セットを組んでまで作られたというから、チェン・カイコー監督はやはりすごい!映画公開の前に読まねばです。このまま巻ノ二へ進みます。2018/02/18
あさひ@WAKABA NO MIDORI TO...
134
久しぶりの夢枕獏作品は大作の空海もの。空海が遣唐使として渡った中国を舞台に繰り広げられる伝奇小説。仏教感を基礎とした宇宙観、妖術の要素も上手くしのばせながの、同氏の陰陽師シリーズが好きな方なら、間違いなく楽しめそう。物語はまだ始まったばかり。先が気になる、気になる!日中合作の映画、染谷将太の空海も見てみたいな。巻ノ二へ!2020/11/03
sayan
119
疫病神シリーズ(桑原・二宮)を彷彿させる空海と橘逸勢の掛け合い。二人の会話がテンポよくストーリー展開のリズムがとてもいい。舞台となる長安は今でいうグローバル化した都市の位置付けで、街や人々の様子を描写した文章は非常に活き活きしている。4冊シリーズの1冊目として、物語を牽引するであろうネタがどんどん登場する。伝奇小説らしく展開の方向性はまったく想像がつかない。そういえばストーリーの一片を挿入画として表現するページがある。個人的に馴染みがない長安を目で理解できて非常に良い。夢枕氏の作品を読むのは本当に久々だ。2019/05/26
mocha
85
もっと重たい内容かとおそるおそる読み始めたら、なんと面白い中華ファンタジー!飄々とした空海と人間味ある橘逸勢のコンビは確かに『陰陽師』と通じる。遠い昔の長安はまるで想像上の国みたいだし、導士の妖術はハイファンタジーに近い。悪い猫は何を企んでいるのか。最終巻まで買っておいてよかった。2019/05/04
ちょろこ
84
読みやすくて面白い!一冊。遣唐使として長安に渡った 空海。相方 逸勢と共に長安で続いていた奇怪な事件に遭遇し…。難しく構えていたのが拍子抜けっていうぐらい夢枕さんの描く中国伝奇小説は読みやすく、面白く、序盤からすっかり虜に。この妖しの怪しさがたまらない。そして何と言っても空海の魅力的な人物像が読み手を惹きつけてやまない気がする。心はすっかり中国へ。さてさてどんな展開が待ち受けているのか…次巻へ。2018/05/16