内容説明
東京駅の地下道―そこで、岡島中彦は偶然、朋子と出逢った。八年、そう八年ぶりに再会した〈おとこ〉と〈おんな〉。それは同時に二人にとって〈ぬり絵の旅〉の再開でもあった…白地図をぬりつぶしていく旅、その旅の終着点に二人が見つけたものは、いったい何だったのか?旅路の中でくりひろげられる、甘くせつない、大人の恋模様を描いた、書き下ろし、恋愛物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
85
ぬり絵の旅という主題がありますが、本当のテーマは結婚から離れた恋愛だと思いました。恋愛中は何かと結婚を意識しがちなものですが、そこを敢えて意識しないというのが興味深かったです。人間味が薄いと言われればそこまでかもしれませんが、結婚前提でない恋愛もまた幸せなのかもしれません。2018/01/09
saga
48
大学院生だった中彦が、アルバイト先で出会った朋子。47都道府県を旅して白地図を塗りつぶしていくのは、自分もすごく興味がわくこと。8年ぶりに東京駅で偶然再会した二人が、結婚に踏み出せない男心と、離婚を決意しきれない女心の間で、友達以上夫婦未満の不思議な関係性の中でぬり絵の旅を続ける悲喜こもごもの展開。中彦にとって初めての大人の恋の相手である朋子は、昔の自分の恋愛を彷彿させた。切ないな~2025/02/28
takaC
26
気にし出したらずっと「一都二府一道四十三県」という言い方(府と道が逆という意味)が気になっていつもほどには物語に集中できなかった。2013/12/29
takaC
23
単行本で読んでみようと探したら文庫書き下ろしだったので、本棚から引っ張り出してきて文庫を再読。年間47都道府県巡り初回達成(1993年)は、この話に触発されたため。(自分史上ではそういうことにしてある)2012/10/31
takaC
18
定価350円(本体340円)とジャケットに印刷された初版本が税込88円で売られていたのを(同じ本を持っていながら)また買って読んだ。1日ぴったり10枚ずつ、ぴったり30日で書き上げたというアトーダさんルールに肖って、1日ざっくり50ページずつ、ざっくり5日で読み切った。今回改めて気になったのは、p61の”「初めてじゃない?」”が恒定なのか否定なのかと、p132の”「Aに丸をつけたが、Bに丸をつけたか、…」”の「が」はきっと誤植だよねというところ。あと、朋子の姓が最後まで分からずじまいなのは意図的なのかな。2025/05/09