内容説明
真面目が取り柄のオトーサンが、十年間も浮気をしていたなんて―。気がむいた時に付き合う気楽な恋人がいる私に縁談がわき起こり―。中年女のなで肩を水蜜桃のようだと愛しむ老人は―。移りゆく季節の中で、ほどらい(ちょうどよい加減)の恋を育む男と女の身上にふりつもる小さな喜び、悲しみをユーモラスにしっとり描き切った、珠玉小説集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
71
面白かったです。移ろいゆく季節の中でほどよく恋をしていく小さな喜びを描いた短編集。ユーモアとしっとりした感じが絡み合った世界が素敵でした。大人のちょうど良い恋の物語であり、普通の男女の恋愛でありながら何処となく香る切なさときらめきが好きだなと思いました。2018/05/15
リッツ
29
再読。すごく懐かしい気持ちになった。いい年頃の男と女のゆらぐ気持ちを優しく切なくユーモア混じえて。田辺聖子さんの作品を読んでいると目先の自分の損得だけにキュウキュウすることや人の物差しに合わせたり比べたりすることから開放され、肩の力が抜ける。そして、ほわほわと温かい気持ちで明日もがんばろうと思える。2019/11/28
June
19
10編の短編集。面白かったのは「このへんで…」幼馴染の男女。男女に友情は成立するのか。失恋して落ち込んでいる美矢にサブが日本酒に金箔を浮かべてのませるシーンが粋。「愛の周り」優柔不断で断れない男の恋愛模様。異なるタイプの女性と近づいて離れ、そして…。「ラストオーダー」八年前にお見合いをした男女がばったり再会。お互い、お見合い第1号の人。お見合いを繰り返した人はなぜか一番最初の人が気になるものだという。二人は…。「ほどらいの恋」「篝火草の窓」「週末の鬱金香」も良い。ここには人生の真理が切り取られてるよう。2014/08/26
すみれ
5
全部で10話の短編集 あいかわらずの関西弁が、とても好きです。 お気に入りは「週末の鬱金香」です。野口の女心を高石はちゃんとわかって いたんだと安心した結末でした。やっぱり恋愛小説はハッピーエンドがいいな。2014/02/15
sin
4
kindle版。昭和の時代、大好きで読み漁ってたおせいさんの既読を含む短編集。恋愛の仕方や男女の付き合い方も時代で変わっていくものもあり、今に通じるものもあり。2020/01/25