出版社内容情報
画家である「予」は、友人医師が行う伯爵夫人の手術に立ち会うことになった。しかし夫人は、麻酔の副作用による譫言で「だれにも言えない秘密」を喋ってしまうことを恐れ、麻酔なしで手術をするといってきかない。全員の反対を押し切り手術が進む中、夫人の容態が急変し、誰もが予期しなかった事態が起こる・・・・・・。
内容説明
その日、外科室には大勢が集まっていた。手術台の上には、死骸のように白い顔をした伯爵夫人が横たわっている。皆が固唾を呑み手術を執り行おうとする直前、夫人は魔酔剤を使わぬと頭を振った。薬が生み出す夢現の間に誰にも言えない秘密を溢すことを恐れ、眠らずに手術が出来ぬなら、死を以てそれを守りたいというのだ―。
著者等紹介
泉鏡花[イズミキョウカ]
1873年石川県金沢生まれ。本名・鏡太郎。17歳で上京、尾崎紅葉のもとで小説を学ぶ。22歳のときに発表した「夜行巡査」「外科室」が“観念小説”と賞賛され、以降作家として活躍する。やがて浪漫的・神秘的作風に転じるが、明治・大正・昭和を通じ、独自の境地を切り拓いた。代表作は「高野聖」「歌行燈」など。1939年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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取り柄無し
5
「外科室」「夜行巡査」「眉かくしの霊」の3篇を収録している。読後感は清冽なのだが、何と言っても読みづらくて仕方ない。前二つは『舞姫』に似た文語体で、注釈と振り仮名がなかったら諦めていただろう。そんなこんなでカロリーを使い過ぎてしまうのだが、それに見合う面白さは充分にあった。殊に「夜行巡査」は面白くて「義を見てせざるは勇無きなり」なのか。一方で「眉かくしの霊」は言文一致運動のお陰か口語体で幾分か読みやすいのだが、如何せん内容がスっと入ってこなくて困った。怪奇の色が強く、理解できたらきっと面白いのだけれど⋯。2025/08/15