出版社内容情報
【人間は、馬鹿だ。ただの機械に、命のないモノに、自分の命を懸けてしまう。】
大学生の実沙は、「探偵の記録者」のアルバイトを教授から頼まれた。探偵事務所を訪ねると、そこにいたのは、AI探偵・エキシマと、エキシマにこき使われる助手・空木のコンビだった。どこか不自然な科学者の家、13年前の少年の死の謎を解こうとする容疑者の集まり、殺人犯が出歩く雪の夜道……。エキシマは、誰よりも早く殺人犯を見つけ出し、ある目的を達成しようとする。不自由な機械の体で犯人を探すエキシマ、彼女が唯一心を許す空木、そして「最悪の未来」を回避するために真相究明を急ぐ実沙の推理バトルが幕を開ける!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yukaring
75
探偵機械の斬新な設定と緻密なロジック、圧倒的なリーダビリティ。これは抜群に面白い傑作ミステリ。ラグビーボールを思わせる漆黒の楕円体から4本の足が生えたフォルム、不気味な威圧感を持つエキシマは人間より高い知能を有するAI。彼女の特徴は「他人を殺した事実を隠している人間を見つけたら、エネミーとして認定して殺すこと」この物騒な性質によりエキシマは人殺しを見つけるために今日も緻密な推理を繰り広げる。そんな彼女の暴走を止めるべく付き従うのは管理者であり助手、そしてフレンドの空木。謎多きこのコンビのその後が気になる。2025/04/18
さっちゃん
48
ラグビーボールに足が生えたようなフォルムのAI探偵エキシマ。エキシマの言語を通訳し、エキシマを止められるただ一人の管理者・空木。「探偵の記録者」のバイトを頼まれた大学生・実沙。彼らが遭遇した事件の連作短編集。/これまでの松城さんの作品の中で一番読みやすく分かりやすい。殺人を犯した人を即殺そうとする物騒なエキシマ、ぼんやりとした空木、優等生タイプの実沙とキャラも様々で面白かった。エキシマの理路整然とした推理が実にロジカル。エキシマの製造元や理由など明かされていない謎も多くシリーズ化の予感。楽しみにしてます!2025/04/23
cinos
42
黒猫のような小さくて丸っこいAIが事件を推理して犯人を殺そうとする直前で管理者がストップをかけて推理を聞き出す設定が最高に面白かったです。これは続編も楽しみです。2025/05/19
koma-inu
39
漆黒の楕円体に脚が生えた、AI機械探偵エキシマの連作短編5編。殺人を隠している犯人の命を奪う、なんとも怖い探偵。事実関係から瞬時に推理する能力は凄まじく、解決ロジックの説明がとても面白いです。またエキシマ、管理者の空木、オブザーバーの実沙の関係が、徐々に明かされていく展開が楽しい。序盤のしっくり来なかった謎も終盤に回収され、満足。そして、ここで終わるか。まだまだ解明されてない謎は多く、続編楽しみです。阿津川作+麻耶作のような、バトルとロジックと狂気の傑作。2025/04/28
だるま
17
ついにAIの探偵がお出まし。人間型では無く、ラグビーボールを大きくした様な楕円体で足が4本。ササッと動ける。名前はエキシマ。自称探偵の空木が管理していて、今の所は空木の言う事だけを聞き入れる。エキシマは素早く推理し、犯人=敵と見なし、銃殺しようとするが、空木がストップをかけ・・・説明だけで長くなるなあ。とにかく面白かった。AI探偵の超絶推理が炸裂。物音の判断等、人間が及ばない部分はあるにせよ、解明は論理的であり、対抗する人間・真砂実沙も謎解きが出来る仕組みになっている。傑作。但し、定価を見てブッ飛んだよ。2025/04/22
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