出版社内容情報
【人間は、馬鹿だ。ただの機械に、命のないモノに、自分の命を懸けてしまう。】
大学生の実沙は、「探偵の記録者」のアルバイトを教授から頼まれた。探偵事務所を訪ねると、そこにいたのは、AI探偵・エキシマと、エキシマにこき使われる助手・空木のコンビだった。どこか不自然な科学者の家、13年前の少年の死の謎を解こうとする容疑者の集まり、殺人犯が出歩く雪の夜道……。エキシマは、誰よりも早く殺人犯を見つけ出し、ある目的を達成しようとする。不自由な機械の体で犯人を探すエキシマ、彼女が唯一心を許す空木、そして「最悪の未来」を回避するために真相究明を急ぐ実沙の推理バトルが幕を開ける!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
139
AIが人間並みの知能を持つ日も間近だが、アシモフのロボット3原則を組み込む前提で描く手塚治虫や石森章太郎に対し、最近のAIが登場するミステリ作品では適用を考えていない。殺人可能な軍事用ロボット開発が進む現実から、ターミネーター的なものこそ未来像と見ているのか。推理から犯人処刑まで行うエキシマもほとんどテロリストであり、いつどこでどう使う目的で生んだのか機械の設計思想が不明だ。こんなロボットがあると知れば、米中ロが空木ごと自国へ拉致するのではないか。このネット時代に、存在が秘匿される設定こそ信じられないが。2025/06/08
yukaring
80
探偵機械の斬新な設定と緻密なロジック、圧倒的なリーダビリティ。これは抜群に面白い傑作ミステリ。ラグビーボールを思わせる漆黒の楕円体から4本の足が生えたフォルム、不気味な威圧感を持つエキシマは人間より高い知能を有するAI。彼女の特徴は「他人を殺した事実を隠している人間を見つけたら、エネミーとして認定して殺すこと」この物騒な性質によりエキシマは人殺しを見つけるために今日も緻密な推理を繰り広げる。そんな彼女の暴走を止めるべく付き従うのは管理者であり助手、そしてフレンドの空木。謎多きこのコンビのその後が気になる。2025/04/18
ままこ
59
殺人者と認定した瞬間から、ある目的を容赦なく実行しようとする探偵機械エキシマ。それを阻止しようとする気弱で心優しき人間助手の空木。大学研究室の教授に「探偵の記録者」を頼まれた知的好奇心旺盛な実沙は、この奇妙なコンビに関わり振り回されることになるが…。油断ならない機械と人間の推理バトル。推理自体も伏線になり、どんでん返しがいくつも待っている。クールでエキセントリックなAIミステリ。謎多きエキシマ続編希望。2025/10/14
aquamarine
57
AI探偵・エキシマと助手・空木、記録者としてアルバイトを頼まれた大学生・美沙による連作。エキシマはどことも接続せず自分で電力も確保して殺人犯を見つけ出し、ある行動を起こそうとする。機械であるエキシマの言葉を理解し止められるのは空木だけ…。エキシマがいつどこでどんな目的で作られたかを想像すると、リュックに入る大きさでいけるのか?と思ったりするが、設定はきちんとしているので一瞬でロジカルに答えに辿り着くエキシマとその後の人間模様を夢中で読んだ。最終話からの繋がりも好み。この後の話もぜひ書いて欲しい。2025/09/11
オフィーリア
49
人間とAIの関係性が新鮮な良作ミステリ短編集。隙あらば殺人犯をぶっ殺そうとする超高性能AIエキシマと、バグ技や先回り推理を駆使し殺人を食い止めたい人間サイドの歪なバディがグッド。欲を言えばエキシマの設定深掘り部分が消化不良な所が気になる。続編前提かな?2025/07/11
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