出版社内容情報
駿河小島藩に仕える倉橋寿平には、もう一つの顔がある。「恋川春町」の名前で滑稽本を執筆する江戸で人気の戯作者だったのだ。浮世を楽しむため、さまざまな女性のもとを渡り歩く春町のもとに、突如として幕府の大物・松平定信から呼び出しの文が届く。倹約を旨とする幕府の方針に、春町の著作はそぐわないと判断されたのだ――。戯作者の矜持を胸に、命がけの洒落で権力に挑んだ粋人の生涯を描く軽妙洒脱な時代小説。
内容説明
駿河小島藩に仕える倉橋寿平には、もう一つの顔がある。「恋川春町」の名前で滑稽本を執筆する、江戸で人気の戯作者だったのだ。浮世を楽しむため、さまざまな女性のもとを渡り歩く春町のもとに、突如として幕府の大物・松平定信から呼び出しの文が届く。倹約を旨とする幕府の方針に、春町の著作はそぐわないと判断されたのだ―。戯作者の矜持を胸に、命がけの洒落で権力に挑んだ粋人の生涯を描く軽妙洒脱な時代小説。
著者等紹介
風野真知雄[カゼノマチオ]
1951年、福島県生まれ。立教大学法学部卒。93年に「黒牛と妖怪」で第17回歴史文学賞を受賞し、デビュー。2015年、「耳袋秘帖」シリーズで第4回歴史時代作家クラブ賞・シリーズ賞、『沙羅沙羅越え』で第21回中山義秀文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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タイ子
69
戯作者・恋川春町。またの名は倉橋寿平、駿河小島藩に仕える年寄本役。仕事はいつやってるんだと思うくらい自由気ままに戯作を書き、かつては大ヒット本もありそれにあぐらをかいてるわけではないが自分はまだイケるぞと発奮するもなかなかの毎日。戯作本のタイトルが笑えるほど面白くこれぞ戯作。浮世を楽しむ春町に逆らうように幕府の大物、松平定信の禁制によって戯作者は次第に筆を折られていく。春町も懊悩の中で自分の生きる道を探るのだが…。軽妙かつ重さの残る作品。また一つ大河ドラマに楽しみが増えた。2025/02/18
陽ちゃん
6
「恋川春町」という名前は知っていましたが、著作が思い浮かばない、というのが正直なところです。本職?は武士である彼が、戯作者として命をかけてふざけ、時の権力者松平定信に目をつけられ、死を選ぶのはあっぱれ、ですが、その方法が微妙というか奇抜すぎてびっくりしました。2024/11/14