出版社内容情報
フリマアプリで購入した一台の中古のボイスレコーダー。
そこには、九州の■■■大学での夜間自主警備、通称「夜警」を行う学生たちによって語られたと思われる、たくさんの怪談音声データが残されていた。
本書はそれらのデータと、ボイスレコーダーにまつわる一連の出来事をまとめた記録である。
この本が無事出版されることを祈ります。
内容説明
決してあの子を呼ばないでください。数多の怪談が吹き込まれたボイスレコーダーに紛れ込むのは怪異か、それとも―
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
眠る山猫屋
58
前提を、物語を、全てを疑え。ボイスレコーダーに残された数十もの怪談。それは、かつて九州のある大学に存在した学生たちによるサークル棟の“夜警”という自治システムでの企画の副産物だ。夜警を担う学生たちが様々な怪談を録音し、奇怪な画像データを残していた。そして派生していく怪異を取材していく破目になる作家・・・。歪な怪談の集積の果てに待つのは、夜警発足の切っ掛けになった事件の真相なのか、それとも。単純に、怖いよ面白いよとは薦められないが、モキュメンタリーというホラージャンルに牽かれる者なら、読む価値のある一冊。2025/04/24
佐倉
14
著者が手に入れたボイスレコーダー、その中に収録されていた多数の怪談やテキスト。そこにはある大学の自治団体が怪談イベント用に準備した怪談と、そのイベントで起きた怪異を追う作家の足跡が平行して残されており…というモキュメンタリー。ひとつひとつの怪談が面白く、それをレコーダー越しに夜の校舎で聞くというシチュエーションも趣がある。怪談単位では御蔵入りしたネット番組でアイドルが語った『指女』ケーキ屋の宣伝パネルへのいたずら『副作用』不気味な結婚式のビデオ編集『エイプリル』ある言葉が奪われる『つゆしらず』が印象的。2025/06/11
ひろ
13
ホラー界を席巻しているモキュメンタリーホラー。遂に読んでみるかと、本作を前情報なく手に取った。先に結論を書くと、ホラーとしては大満足、モキュメンタリーホラーとしては他作を通ってから読めばより楽しめたかも、という感想。ボイスレコーダーから書き起こした複数の怪談を核に、過去の事件、現在の作者がオーバーラップしていく構成。怪談どれもがしっかりと怖く、日のあるうちに読んでいてよかったと思うほど。一冊全体としては乗り切れなかった部分も正直あるが、不可思議なタイトルの回収がなされ、捻りをくわえた着地なのは伝わった。2025/04/14
ふなこ
10
モキュメンタリー。途中とっても怖かった。モキュメンタリーの怖いところは現実と創作の境目があいまいで、もしかしたら本当の話が混じっているのかもと想像してしまうことだと思う。私はこちらには創作の跡を感じ、あまり本当の話かもと思えなくて、怖さがなくなってしまったように感じた。2025/02/26
hannahhannah
8
皮肉屋文庫のデビュー作。モキュメンタリー・ホラー。『近畿地方のある場所について』がメガヒットしたものだから、同じジャンルの本がどんどん出ている。フリマ・アプリで購入したヴォイス・レコーダーには多くの怪談が吹き込まれていた。興味本位で聞いたのがすべての始まりだった。怪談はなかなか面白いのもあるが、ラストは弱い。もっとエグくても良い。2025/06/05
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