出版社内容情報
青春ほど、死の翳を負ひ、死と背中合せな時期はない――。同人誌を編集するため、あるじが自殺して間もない芥川龍之介の旧宅に通った日々。苦悶がしみついているかのように陰鬱な部屋が思い起こさせるのは、青春時代に死んでいった仲間たちの姿だった。人間の喜怒哀楽の舞台裏に潜む、振り払い難き「死」の存在に、無頼派の旗手が独自の視点から肉迫を試みた。表題作「暗い青春」ほか、火花の如き輝きを放つ短編10編を収録。
内容説明
青春ほど、死の翳を負い、死と背中合わせな時期はない―。同人雑誌を編輯するため、あるじが自殺して間もない芥川龍之介の家に通った日々。苦悶がしみついているような暗い家が思いださせるのは、青春時代に死んでいった仲間たちの姿だった。人間の喜怒哀楽の舞台裏に潜む、振り払い難き「死」の存在に、無頼派の旗手が独自の視点から肉迫を試みた。表題作「暗い青春」ほか、火花の如き輝きを放つ短編全10編を収録。
著者等紹介
坂口安吾[サカグチアンゴ]
1906年(明治39年)、新潟生まれ。東洋大学印度哲学倫理学科卒業。46年に発表した「堕落論」が反響を呼び、続く「白痴」によって太宰治、織田作之助らとともに新文学の旗手として文壇に特異な地位を築く。55年、脳出血により48歳で急逝(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
40
無頼派の色濃さを感じました、何より芥川の自殺した家に通い詰めたというのに鳥肌が立ちます。芥川の苦悶が安吾自身の青春と重なったのでしょうね。暗い青春。それは同じ無頼派と称された織田作や太宰の死だったのかもしれません。振り払うことのできない「死」。不吉な輝きの美しさが貫かれた短編集と言っても良いかもしれませんね。2024/03/17
たまきら
34
新刊コーナーより。一時坂口安吾にはまって結構読んでいたんですが、この本は読んでいませんでした。芥川龍之介が死んだ家に出入りしていたエピソードには正直ゾッとしましたが、化け物じみたそれらすべての根底に「暗い自分」を認める彼の客観性に「ああ、坂口安吾だなあ」と妙に納得しました。なんでこんなにかっこいいのかと思ったら「文豪ストレイドッグス」という漫画とのコラボだそうです。ほほう…。2024/01/26
ホシ
24
さすが美文の誉れ高い坂口安吾。それが本作を読んだ最初の印象です。生い立ちと父母を巡る恩讐、芥川の旧宅に集った同人との友誼、矢田津世子との恋愛と絶交、戦争と自身の文学に対する虚無感、そして、これらに付き纏う死の翳。内なる葛藤と矛盾が火種となって呼び覚まされるタナトスが深い洞察をもって堅実に描き出されます。坂口安吾の人となりが窺い知れて興味深かった。何が何だか分からぬ。もう死んじゃえという囁き声が聞こえる。でも、死んじゃいけない。なぜ死んじゃいけないか分からないけど。誰もが覚えのある感覚ではないでしょうか。2024/03/16
パイナップルレモン
5
もう一回読む 借りる期限がきた2024/02/17
misa
1
既読のものが多かったけど、コラボカバーに惹かれて購入。やっぱり安吾は面白い。本当の母親じゃないと言われて心底喜んだり、悟りを開こうとして神経衰弱になったり、本に引いたアンダーラインだったり、「安吾の感性」が詰まっている中、印象的なのはやはり最愛の恋人との顛末。いくら好き合っていてもタイミングを間違えたら何をしても駄目になってしまう哀しさや、性格的なものからくる破滅が切なかった。2024/01/11