内容説明
「光る地面に竹が生え、」「竹、竹、竹が生え。」萩原朔太郎の言葉は、鮮烈なリズムで読む者の胸へと鋭く迫る。近代人の病的なまでの精神のふるえを描き、真に近代的な口語自由詩を確立したと評される詩集『月に吠える』。家庭の崩壊と言い知れぬ絶望のさなかで、漢語を駆使して書かれた文語詩集『氷島』。いずれが最高傑作かをめぐって今なお議論の絶えないこの二詩集を中心に、『青猫』『純情小曲集』などからセレクトした新編集の朔太郎詩集。
目次
詩集 月に吠える
詩集 青猫
詩集 蝶を夢む
詩集 萩原朔太郎詩集
詩集 純情小曲集
詩集 氷島
詩集 宿命
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
朗読者
18
「透明な夜の香り」から「月に吠える」に。萩原朔太郎の詩集。冒頭に自画自賛の「序」を載せている人は初めて見た。この詩集を後人が真似ているらしい。そして、朔太郎はとんでもない自信家らしい。北原白秋と室生犀星の手紙も添えられている。予想とは全然印象が違った。月と野獣を感じる話は少なかった。地面に近い視線から生命活動を観察する描写と死の描写が多い。2回も出てくる雲雀料理って何。本当に雲雀を食べるの。恋人の死の原因を知らないが、その死への懺悔と後悔が繰り返される。犬の遠吠えは影を怖がっているからだとは知らなかった。2025/09/15
冬見
18
「私は信ずる。さうして君の異常な神経と感情の所有者である事も。譬へばそれは憂鬱な香水に深く涵した剃刀である。」「寂然涼しい水銀の鏡に映る剃刀の閃きである。その鏡に映るものは真実である。」北原白秋による序は名文。尖っていて、孤独で、悲しい。この詩集は正しく、月に吠えすさぶ君の悲しさだ。2016/07/20
松島
10
内容は理解に苦しむが詩がリズミカルでとてもテンポが心地よい2017/09/29
つーさま
10
普段、詩を読む機会は少ないが、好きな詩人を訊かれれば天沢退二郎と朔太郎の名がパッと頭に浮かぶ。そのくらい彼の詩が好きだ。頽廃的でじめじめとした詩は、読んでいるうちにこちらをも生気を吸いとられ、気だるい気分にさせる。それでもなお、疲労や虚無とともに広がりをみせる官能的で幻想的なイメージの中で溺れてしまってもいいと思う。いや願う。それも病的に。本書は、『月に吠える』を中心に朔太郎の代表作をセレクトしているが、なかでも好きなのが「殺人事件」「感傷の手」「愛憐」「遺伝」「虚無の歌」の5つ。2013/05/11
清少納言
9
中高と、落第を繰り返しているところには、好感を覚えるし、納得してしまう。望郷の念こそが、彼を形成しているのかもしれない。「宿命」は、一読の価値あり。旧作と新作を取り混ぜているから分かる、寂寥感の深み。2014/07/01




