出版社内容情報
冒険のゴールである「運命の塔」に迫りつつあるワタルは、あと一歩のところで異世界滅亡の危機に巻き込まれてしまう。仲間たちの幸福と自分の願い、究極の選択を迫られた少年が導き出した答えとは?
内容説明
運命を変えるための旅は、佳境に差し掛かった。皇都ソレブリアにそびえる運命の塔に迫りつつあったワタルは、思いもよらず幻界の危機に巻き込まれる。それには同じ“旅人”としてゴールを目指す、ミツルの存在が関わっていた。自分にとって本当に大切なものはなにか?現世の幸福と幻界の未来を天秤にかけた時、ワタルが導き出した答えとは―。ひたむきな少年の勇気と成長を描く感動作、怒涛のクライマックスへ!
著者等紹介
宮部みゆき[ミヤベミユキ]
1960年東京生まれ。東京都立墨田川高校卒業。法律事務所等に勤務の後、87年「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞してデビュー。92年『龍は眠る』で日本推理作家協会賞長編部門、『本所深川ふしぎ草紙』で吉川英治文学新人賞、93年『火車』で山本周五郎賞、97年『蒲生邸事件』で日本SF大賞、99年『理由』で直木賞、2001年『模倣犯』で毎日出版文化賞特別賞を受賞。02年司馬遼太郎賞と芸術選奨文部科学大臣賞文学部門、07年『名もなき毒』で吉川英治文学賞、08年英訳版『BRAVE STORY』でBatchelder Awardを受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
神太郎
18
下巻は痛みと別れが多い巻でしたね。子供向けというよりも大人になる中高生に対してのメッセージが込められていそうだなぁ。君達はこの苦境を現状をどう乗り越えるのか?みたいな。RPGによくある友情と我欲を捨て誰かを守りたいという気持ちを持つものが勇者たりえる。そこは王道をしっかりと踏んできたなぁと思う。ミツルはどうなったんだろうか。ここは多分読者一人一人の解釈に委ねてる気がします。2023/12/28
トーナ
8
始めから終わりまで展開がしっかりとまとまった、良い王道ファンタジーでした。特に「異世界でありながら自分の内面でもある世界」という設定のおかげで、どれがどんな風にワタルの心を表しているのか、と想像しながら読むのが楽しかったです。とはいえ子供の頃に読んだ時とは違い、ファンタジー部分より現実でのドロドロの方がハラハラして面白かったので、次に宮部みゆきを読むときはそういうのを探して読もうと思います。2022/05/25
あかつや
6
色々あって帝国の野望を阻止するために行動するワタルたち一行。先行しているミツルを追って北へ向かう。プレイしてないゲームのノベライズを読んでる感は相変わらずあるんだけど、最後のあたりは良い盛り上がりだった。王道展開は強い。ちょっとプレイした気になったよ。この冒険を通してワタルが得る教訓は、今の状況を変えるには世界を変えるより自分が変わった方が手っ取り早いというシンプルなものだけど、これ覚えとかないと人生暗くなっちゃうからな。現世に戻った亘少年の前途はきっと明るいだろう。不動産屋の令嬢とも仲良くなれそうだし。2022/10/28
みくくくくくく
5
ちゃんと子供向けなのに、厳しい。とても厳しい世界。確かにこれは小学生に読んでもらいたい一冊だな。子供向け子供向けと言いつつ、最後は本当に感動した。よかった。2023/11/22
水瀬しあ
4
やはり思いのほかシビアな展開。この手のものは大体異世界も異世界でシビアではあるものですが、シビアの方向性がリアルというか。その点においてもワタルの成長においても、現世から生まれた幻界であるというのが重要なんだなと読み進めるほどに実感。途中では一体どう願うつもりかと思いましたが、いざその時になればそれしかないと思えたのが見事でした。ミツルは最初からあんまり好きになれないキャラでしたが、彼もまだ子供なのにワタルのようにはいかないのかと思うと切ない。最後、半ば忘れかけてたヒト柱の件で一番泣けました……。2022/06/26