出版社内容情報
シェフの亮は鬱屈としていた。創作ジビエ料理を考案するも、店に客が来ないのだ。そんなある日、山で遭難しかけたところを、無愛想な猟師・大高に救われる。彼の腕を見込んだ亮は、あることを思いつく……。
内容説明
雇われシェフの亮二は、行き詰まっていた。腕には自信があったのに客がこず、このままでは料理への情熱も失いそうだ。そんなある日、猟に入った山で無愛想な猟師・大高に出会う。以前からジビエ料理を出したいと願っていた亮二は、人を避け自然の中に生きる大高のもとに通いはじめる。だが、なぜか大高の周りで不可解な事件が起きはじめ―「ビストロ・パ・マル」シリーズの著者が贈る、美味しい料理満載の、大人の成長物語。
著者等紹介
近藤史恵[コンドウフミエ]
1969年大阪府生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。93年『凍える島』で第4回鮎川哲也賞を受賞して作家デビュー。以来、細やかな心理描写を軸にした質の高いミステリー作品を発表し続ける。2008年『サクリファイス』で第10回大藪春彦賞を受賞。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Nao Funasoko
157
ドラマ『シェフは名探偵』の原作者として知った著者作品初読み。 生きることに不器用そうなシェフが同じく生きることが不器用そうな猟師と出会いジビエを仲介し物語は進む。 事件そのものは特筆すべきものでもなかったが、ジビエという素材自体も一章ごとのボリュームやリズム感といった文体も私好みの作品。バイプレイヤーたちも今後自由に動き出してきそうなキャラばかり。切にシリーズ化を願う。2021/08/24
ひさか
140
2019年2月角川書店刊。2021年5月角川文庫化。ジビエ料理と調達とそれを取り巻く人々と犬達のストーリー。ジビエ料理って難しいもんなんだと思いました。2021/07/06
あすなろ
128
なかなか面白いジビエ料理を核としたストーリー展開と登場人物達のキャラ設定。これら解説の坂木司氏の語られるとおり。物語を読む愉しさがストレートにあった。また、近藤氏の筆で登場人物達、特に主人公が語る人生観や仕事観が短く読者に時折スパッと共感させ、動作の描写も鋭く、より惹き入れらるのであろう。そして、その展開=転がり続けた後の登場人物達の全てのその後が気になって仕方ない。続編が早く読みたいと思う。2023/05/06
Kazuko Ohta
126
グルメ×ミステリー小説が溢れるなか、どのジャンルの料理を取り込むかはある種のニッチ産業のように思います。そうだ、ジビエ料理は今までにない。料理学校では優等生だったのに、いざシェフを任されると次々と店を潰してしまう主人公・潮田。ジビエを偏愛する女性オーナーの目にとまったものの、やはり閑古鳥。猟に入った山で遭難しかけたときに助けてくれたのが無愛想な猟師・大高。なんとも美味しそうな数々の料理。だけど予想していたよりもずっとミステリー。鹿の出没にうんざりするわが家の周辺ですが、本作を読むと少し見方が変わる。 2023/11/02
ツン
123
近藤さんの作品、やっぱり引き込まれますね。主人公の料理愛が伝わってくる。犬愛も。料理への愛も才能もある主人公が、オーナーや大高さんと触れ合って、シェフとして成長していくのがいいですね。 ミステリーは香り付け程度ですが、それで十分。2021/06/13