出版社内容情報
豊士の教習車には今日もさまざまな人が乗り込む。カレシに飲酒運転をさせまいと教習所に通う佳世。就職先で免許が必要な大学四年の七八。孫娘の幼稚園送迎のため69歳で免許取得を目指すしの。彼ら教習生に対し紳士的に接することを心掛ける豊士。だが、それどころではなかった。17歳の娘が妊娠したというのだ。若い男女の教習生は、ついつい娘とその相手に見えてしまう。加えて現カノジョ・万由とは徐々に疎遠に。元妻・美鈴との再会がそれを加速させる!?どうなる、ロック中年・豊士!!
内容説明
益子豊士の教習車には、様々な人が乗り込む。カレシに飲酒運転をさせまいとする佳世。就職先で免許が必要な大学4年の七八。孫娘の幼稚園送迎のため69歳で免許取得を目指すしの。―彼らと向き合うそんなある日、元妻の美鈴から「娘が妊娠した」という電話が入る。10年以上会っていない17歳の美月の妊娠に動揺する豊士。両家の話し合いに同席してほしいという。突然訪れた人生の難コース、果たして無事走り切れるのか!?
著者等紹介
小野寺史宜[オノデラフミノリ]
1968年、千葉県生まれ。2006年「裏へ走り蹴り込め」で第86回オール讀物新人賞を受賞。08年、第3回ポプラ社小説大賞優秀賞受賞作の『ROCKER』で単行本デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
93
6年ぶりの再読。こちらの作品はなんとなく覚えてました。主人公は45歳の自動車学校教官「益子」。こちらの作品も初読時は自分が主人公より年下で、再読時には年上になってました。年代的には近いので、色んな場面で自分に置き換えて読んでました。別れた妻と高校生の娘とのやりとりや、その娘が妊娠するなどなかなかテーマは印象的ですが、そこはやはり小野寺さんならではの作風でシリアス感を控えめにしてくれています。主人公「益子」さんのこの後の暮らしぶりが読みたくなるステキなお話で、なおかつ他の作品とのリンクぶりが絶妙でしたね。2025/03/25
mayu
79
ブラック企業を退職し、自動車学校の教官になった主人公。別れた妻との間には高校生の娘がいて、その娘が妊娠。久しぶりの娘との父としての関わりや、それぞれの理由で免許取得を目指す教習生とのお話。自動車学校に通い、私もS字とクランクに苦戦したことを思い出した。教習生の事情には立ち入り過ぎない。フレンドリーに接するけど、事故にならないように時には厳しく言う。娘のためには一生懸命、だけど先走って失敗もする。ロックをこよなく愛する。教官としては誠実、ちょっと頼りない部分もあるけどなかなか魅力的な主人公。面白く読めた。2022/09/17
ケロリーヌ@ベルばら同盟
76
長女が生まれ、祖父となった私の父は、豹変した。オットが自家用車に取り付けたチャイルドシートを、わしわしと揺すって強度を確かめた。急に口煩くなった。曰く、「運転中は、赤子泣いても振り向くな」(当たり前だ。)頑固親父が、孫娘だけにはトロトロの好々爺になった…。小野寺さんの作品には、読者の思い出を引き寄せる力がある。自動車教習所の教官、益子豊士。就職氷河期に苦労して入社した前職場で、心身を疲弊させ、つまらない嘘で、妻子に去られた四十路男が、娘の身に起きた事によって、自身の現在、過去に向かい合う。良い話を読んだ。2022/04/30
涼
71
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2024/05/post-efdf00.html 自動車教習所教官豊士の、「紳士的に接する」というモットーが家族には通じないのが気の毒です。それでも、娘は次第に心を開いていってるかもしれません。2024/05/03
Comit
65
積読本~自車学の教官である44歳の男性が主人公。日々訪れる受講生。年齢も性別も目的も様々。「誰にも何のいいことがない。それが交通事故」教官という立場から受講生達に交通ルールを説明、時に優しく、時に厳しく。そんな中で元妻から17歳の娘の妊娠を告げられる…Σ(゚д゚;)離れていた父と娘、元夫と元妻、切れる事のない繋がりと、周囲の人の温もりが伝わってくる1冊。章タイトルにつけられている曲名もお洒落で、BGMに聴きながら読了。趣向は違えど内容は小野寺さんらしい本でした(^^)2021/06/30