出版社内容情報
ナチスの桂冠法学者として知られるカール・シュミットが、自由主義に対する批判的分析を初めて本格的に行った著作。1923年刊。
内容説明
やがてナチスの桂冠法学者となるカール・シュミット(1888‐1985)が、自由主義に対する体系的批判を行なった初の著作。不安定なワイマール体制への幻滅から、議会主義の精神史的な基礎は過去のものになったとし、議会主義と民主主義の連関を切断する。独裁理論を考察し、ドイツの新しい政体を暗示した問題作。1923年刊。
目次
現代議会主義の精神史的状況―一九二三年(民主主義と議会主義;議会主義の諸原理;マルクス主義の思考における独裁;直接的暴力行使の非合理主義理論)
議会主義と現代の大衆民主主義との対立―一九二六年(議会主義;民主主義)
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- 評価
本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
81
この著書の内容については様々な賛否両論が出てくるのではないかと思われます。それほど問題を含んだ著書であると感じます。表題からすると今のどこかの国会の内容を論じているのかという感じはしますが、この著書の書かれた時代のワイマールという特別なドイツの時代についての理解をしていないとわからない部分が多いのではないかと感じました。カール・シュミットは意図してナチスの擁護というか法律的な支持を考えていたわけではないと思います。そこのところをきちんと読み取って、内容を理解していく必要があると感じました。2015/09/26
中玉ケビン砂糖
51
初版は1923年だが、その3年後に第二版が刊行されている。内容はほぼ同じだが、ご丁寧に序文だけが強調的に追加されており、見出しはズバリ「議会主義と大衆民主主義の対立」。いかに彼が「踊る議会」と「混乱する市民」との乖離を問題視していたかが察せられる。教科書的には「近代ヨーロッパ史において初めて民主的な国体を築き、同じく民主的憲法を制定した国家」のワイマール共和国だが、当時においても(新興のアメリカなどを除けば)「民主的なもののみよって国政を維持することなどできるものだろうか」という猜疑はおそらく2021/03/09
壱萬参仟縁
41
1923年初出。民主主義が現実となるにつれて、多くの主人につかえ、内容的に一義的な目標を決してもたないことが、明らかになった(18頁)。重要なのは、社会主義の多くの側面と可能性のなかで、精神的意味において決定的なその究極の論拠、社会主義的信念の最終的明証性を探索すること(66頁)。善とは(ヤネンツキーの適切な定式化)正しい弁証法的な認識と意識性の意味において時宜にかなっていること(71頁~)。2016/01/18
双海(ふたみ)
28
ようやくシュミットに手を出した私。どうせ読んでもわからんだろう、とずっと思っていたのです。果たして、わからなかった。自由主義に対する体系的批判とはいうものの・・・よくわからない。再読しなさいっていうことかな。2015/08/09
chanvesa
26
「議会主義と現代の大衆民主主義との対立」の方が、問題提起としては強くいやらしい。「精神史的状況」は討論と公開性のまやかしを暴露し、政治の直接的な行動のダイナミズムの源泉としての「偉大な熱狂、偉大な精神的決断および偉大な神話(92頁)」を世界史の動力源として位置づける。この気持ち悪さは、政治の立法権と執行権の分離によって、執行権における技法・冷静さを取り除いていることに基づいており、あざとい。しかし政治は問題解決の技法という側面(シュミットが拒否した妥協)を明らかに意図を持って落としている。2022/01/10
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