出版社内容情報
同級生の長野くんに誘われて野球観戦に来た愛里。二人の前には大声でヤジを飛ばす男がいて……「梅雨明けヤジオ」
バンドでリードギターを降格された悠太が初デートで訪れたのは“ツリー”ではなく“タワー”だった「逆にタワー」
思いもよらない偶然を重ねて出会った駿作と那美は、その時が来るのを待つ「君を待つ」
ほか全10編を収録。
11歳から42歳、それぞれの「選択」に向き合う男女を描いた、著者初の短編集。
内容説明
同級生の長野くんに誘われて野球観戦に来た愛里。二人の前には大声でヤジを飛ばす男がいて…。(「梅雨明けヤジオ」)。バンドでリードギターを降格された悠太が初デートで訪れたのは“ツリー”ではなく“タワー”だった。(「逆にタワー」)。思いもよらない偶然を重ねて出会った駿作と那美は、その時が来るのを待つ。(「君を待つ」)。ほか、全10編。
著者等紹介
小野寺史宜[オノデラフミノリ]
1968年、千葉県生まれ。2006年「裏へ走り蹴り込め」で第86回オール讀物新人賞を受賞。08年、第3回ポプラ社小説大賞優秀賞受賞作の『ROCKER』で単行本デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ウッディ
241
東京郊外の蜜葉市の住民の日常のひとコマを描いた短編集。 辛い想いや嫌な想いをしているのに、それを表に出さないだけでなく、悪意なく放つ自分の言葉が誰かを傷つけていないかとおどおどしながら生きている人々、小野寺さんの小説にはそんな優しい人たちが溢れていて、癒されます。愛する妻の元カレを家に泊めてあげることで夫婦の愛情が深まる「ハグは十五秒」、電車に乗れなくなった妻への優しい気持ちを描いた「君を待つ」が面白かった。優しく、真面目に生きている人には幸せになってほしい、そんな願いが込められているような気がします。2020/06/07
いつでも母さん
228
『ひとの希望がまちを灯す』もう・・これはあの小野寺さんの10話からなる短編集。想像通り?優しく私を包んでくれた。特別なことはなくたって、暮らしているってことはそれだけでその本人には特別なことなんだ。人は一人では生きていない。出会い・別れ・選択・・そんなことの積み重ねで出来ているよね。好みは『君を待つ』『ハグは十五秒』『カートおじさん』2020/03/24
kotetsupatapata
196
星★★★☆☆ 東京近郊の「蜜葉市」を舞台に、どこにでもありそうな話をまとめた短編集。 人生時にはつまづき立ち止まり、過去を振り替える事もあるけれど、それでも明日に向かって歩いていく、大袈裟な感動は受けないものの、ほんわかとした読後感でした。 今作は「離婚」が裏に潜んでいるような作りでしたが、暗い雰囲気は無く、むしろ清々したぐらいの気の持ちような登場人物。 個人的には、ほぼ同世代の「ハナダソフ」が一番印象に残りました 『腐っても鯛 太ってもクレオパトラ』は名言✨2020/06/24
シナモン
192
図書館本。蜜葉市に暮らす普通の人達の日常を描く短編集。高校野球の応援、同窓会、学校の面談…ごく普通の光景が懐かしく感じる。当たり前のように送っていた日常のありがたさ。小野寺さん独特の文章も読みやすく、読後感あたたかな一冊でした。「君を待つ」「カートおじさん」がお気に入りかな。2020/04/14
utinopoti27
181
売れない作家、初めてのデートに戸惑う男子高校生、レジ打ちのおばさん、妻の元カレを自宅に泊めてしまう気の弱い夫・・。都心近郊のベッドタウンに息づく人々の何気ない日常。本作には、時に微笑ましく、時にほんわり暖かく、時に切なくほろ苦い人生の断片が、ささやかな起伏を伴って綴られている。けして恵まれた境遇ではないかもしれない。うまくいかないことの連続かもしれない。けれど誠実に生きる、歯を食いしばって前を向く。この短編集は、そんな人たちの生き方をそっと見守り、やさしく肯定してくれる【心のサプリメント】なのだと思う。2020/11/18