私は幽霊を見ない

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 46判/ページ数 208p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784041081884
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0095

出版社内容情報

私は幽霊を見ない。見たことがない。さらに目が悪い。心眼でも見えないし、知覚する脳の器官も機能しない……。だけどいつでもどこでも怖がっている筋金入りの怖がりだ。
そんな著者は怪談雑誌「幽」で、怪談実話を連載することになった。そこで小学校時代からの恐怖体験から振り返る。築百二十年の小学校の女子トイレには、“四時ばばあなる老怪女”や“病院で死んだ三つ子の霊”が出現したこと。大学時代の友人たちから怖い話を聞き取りしたこと。友達の友達のお姉さんがイギリスのホテルで胸苦しくて目覚めると、金髪の白人女性がなにかをまくしたてながら首を絞めてきた話や、所属していたカメラクラブの部室の廊下を首のない女が走るという話などを思い出す。幽霊を見ない両親ですら、怪現象に遭遇している。夜ふと目を覚ますと白装束の自分の母親(著者の祖母)がベッドの脇に無言で無表情で立っていたという。
芥川賞を受賞し、上京した際には、編集者や出会った人たちからの聞き取りを怠らなかった。タクシー運転手が背負った自殺者の霊の話、マン島で見た妖精のような小さい人と目が合うとウインクしてどこかへ消えた話、自分が殺される夢を見たその夜に殺人事件が起こった話、深夜誰もいないトイレで鳴らされたナースコールなど。
心霊体験をしたいがために、徳島県の廃墟ホテル訪問したり、レジデンスで訪れたアメリカで出ると言われているホテルに泊まったが幽霊には出会えず。
幽霊には会えていないけれど、幽霊とは何かという問いの答えは知っている。“幽霊とは、生きているときに上げられなかった声”だ“。
私たちは誰であれ今でも、上げられない声を抱えながら生きているから、こんなにも幽霊を追い求めるの。著者の幽霊探しの旅は続く。

内容説明

私は幽霊を見ない。見たことがない。さらに目が悪い。心眼もないらしいし、知覚する脳の機能も働いていない…。だけどいつでもどこでも怖がっている筋金入りの怖がりだ。怪談専門誌で怪談実話を連載することになり、怖い話、不思議な話を蒐集した。編集者や出会った人からの聞き取りは怠らず、レジデンスで訪れたアメリカで出ると言われているホテルに泊まったが幽霊には出会えず。―著者の幽霊探しの旅は続く。“日常のずれ”を描く芥川賞作家・初めてのエッセイ。

目次

私は幽霊を見ない
富士見高原病院の幽霊
消えてしまうものたち
国立民族学博物館の白い犬とパリで会った猫
ついに幽霊とニアミスする
はじめて心霊スポットへ行く
幽霊はいないけれど、不思議なことはある
理想の死に方とエレベーターと私が殺した植物たち
アメリカの空港で幽霊を探す
夢が現実になる話
幽霊とは生きているときに上げられなかった声だ

著者等紹介

藤野可織[フジノカオリ]
1980年、京都府生まれ。2006年、「いやしい鳥」で第10回文學界新人賞受賞。13年「爪と目」で第149回芥川龍之介賞受賞。14年『おはなしして子ちゃん』で第2回フラウ文芸大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

この商品が入っている本棚

1 ~ 1件/全1件

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

こーた

275
装画に惹かれ手に取る。ほどよく力が脱けている。作家は幽霊を見ない。ぜひ見てみたい、と行く先々で怖い話を聞いてまわる。誰かの怪談は、そのまた誰かの経験したことだったり、さらにまた誰かから聞いた話だったりする。語り手が遠ざかるほど怪しさは増す。ふむふむ、と聞きながら、作家はエア猫を飼っていたり、植物を育てたり、ニコラス・ケイジの画像を保存したりしている。幽霊、関係ないじゃん。そうやって油断していると……、ああ!幽霊ってそういうことなのかもなあ。僕も幽霊を見ない。小説を読んでいれば、いつか見られるだろうか。⇒2020/01/25

ゆみきーにゃ

87
《図書館》初めましての作家さん。藤野さん、すごく綺麗な方!読みやすくてあっとゆう間に読み終わっちゃった。藤野さんの考え方が独特?で面白かった。2020/01/15

とろとろ

78
NDC分類914。「私は幽霊を見ない」というのが必ず文頭に付くレポルタージュみたいな連作エッセイ?。幽霊を見たという人や不思議現象を目撃した人、後から考えるとどうもおかしい、みたいな話を集め、心霊スポットがあれば積極的に行ってみるのだが幽霊に逢ったことがないという。幽霊にまつわる話を聞いても何処に行っても、ちっとも恐がりも驚きもしない。例えば最初の猫の話なぞ、読んでる自分はそんな場面に遭遇すると怖いんじゃないかと思うのだが、この人は全く平気だ。だから幽霊なんて「見ない」んだと思う。芥川賞作家なんだってな。2021/03/31

あも

70
私は幽霊を見ない。そんな藤野可織ンが、何でか知らんが幽霊に関するエッセイを連載することに。え、なんでよ。なんでその仕事受けた?というわけで、小学生時代の怪談から、友人や編集者や出会う人に体験談をねだり、それをゆるゆると綴っている。ほんとゆるい。脳内にエア猫を飼ってみたり、幽霊が出ると噂の場所に宿泊するたびに出会えたらなんて話しかけようか本気で考えたり。結局会えなかったわけだけど、やっぱり不思議な人だなあ。本文より、川上弘美『某』の装画から気になっていた、三好愛さんの装画・挿画が好みすぎてそれが一番の収穫!2019/10/23

南雲吾朗

64
幽霊を見ない藤野可織さんの幽霊のエッセイ。そもそも、私も藤野さんと同じように見えない。だから、いないような気がする。先輩で、ばっちり見える人が居るが、私には見えないので少々損をした気がする…その点は藤野さんと同じ感覚。幽霊で怖い体験をしたとか見えたとかいうことは書いておらず、すべて他人から聞いた話なのだが、なぜかこの本を読んでいると、時々ゾクッとくる。文章は何気ないのだが、ゾクッと怖い感じがする。そこが作家としての上手さなのかもしれない…。最後から2番目の章で出てくる若山さんと映画に行きたい…。2020/02/10

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/14165983
  • ご注意事項

最近チェックした商品