内容説明
東京にいる娘が骨折。駆けつけた私に、娘は初めて家族の秘密を吐露するが(「彼女の冷蔵庫」)。主任との不倫。そこにはさらなる隠し事が―(「ご清潔な不倫」)。骨粗鬆症、皮膚炎、便秘、突発性難聴、睡眠障害、生理痛、アルコール依存症、肥満、自律神経失調症、味覚異常。がまんを重ねた末に身体を壊し、普通の人間関係からはじき出され、居場所を失った人々が、ゆるやかに再生してゆく様を描いた、10編の心揺さぶる物語。
著者等紹介
山本文緒[ヤマモトフミオ]
1962年神奈川県生まれ。OL生活を経て、人間関係の繊細なずれから生じる喪失、慈しみをテーマに作家活動を続け、現在に至る。著書多数。『恋愛中毒』で第20回吉川英治文学新人賞を、『プラナリア』で第124回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
159
『いったい私が、何をしたというのだろう。これは、なんの罰なのだろう』。身近に聞くさまざまな『病気』の名前がタイトルに記された10の短編から構成されたこの作品。そこには、『病気』に苦しみながらも、『病気』と共に生きていく他ない女性たちの姿が描かれていました。作品に取り上げられた『病気』が、20余年の年月を経ても未だ人を苦しめ続けていることに驚くこの作品。そんな『病気』と共に生きていくことの意味を思うこの作品。ストレスだらけの日常の中に、それでも生きていく他ない人の内面を鮮やかに描き出した、そんな作品でした。2024/03/13
もぐたん
79
いくつもの心身の不調を通して、女として生きるめんどくささを、柔らかい文体で読み手の心をふわっと包み込みながら鮮烈に描いた作品。それと同時に、年齢を重ねた私たちは、読みながら、そうじゃないよ、こうだよ、というじれったさを幾度も感じる作品でもある。懐かしいモチーフも味わいとなり、作品の魅力を際立たせていて好ましい。不器用な女たちの繊細でリアルな小さな叫びを掬いとった、今読んでも心に響く短編集。★★★☆☆2022/01/08
たーさん💎💎
47
初作家さん。 体にまつわる短編集。恋愛絡みもありサクサク読めました。実際にこのような不調で様々な事が起こっていると思う。 ストレスが多い世の中。体が不調だと何もかもうまくいかない。最後は今ある現状でいかに前へ進むか、と前向きになれます。 2021/07/06
harupon
41
骨粗鬆症、皮膚炎、便秘、突発性難聴、睡眠障害、生理痛、アルコール依存症、肥満、自律神経失調症、味覚異常、主人公女性たちの切実な悩み。再生していくまでの話。「観賞用美人」と、「ねむらぬテレフォン」なんとなくわかる。切実だよー。便秘と睡眠障害。2023/08/02
おうち時間
41
10編の短編集。タイトルの後に病名が書かれており、それぞれの病気を抱えた女性たちが前向きになっていくまでのお話でした。病気と言っても便秘や睡眠障害、自律神経失調症など誰でもなり得るストレスが原因の病気だったので身近に感じながら読めました。「ご清潔な不倫」と「ねむらぬテレフォン」「過剰愛情失調症」が良かったです。本のタイトルになっている「シュガーレス・ラブ」は味覚異常になったフードコーディネーターのお話でした。ストレスはやっぱり恐いですね。無理しすぎないように気をつけて生活しないとです。2021/05/05
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