中尉

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  • サイズ B6判/ページ数 239p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784041023464
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

敗戦間近のビルマ戦線。ペスト拡散防止の使命を帯び、メダメンサ部落に派遣されてきた軍医の伊与田中尉と、彼を護衛する尾能軍曹。ごましお頭の中尉の立ち居振る舞いは尾能の目にことごとく役職不適格に映るが、周囲の評価はなぜか十人十色。外部からの接触を遮断していた折も折、部落で若者の脱走と、武装強盗団(ダコイ)による伊与田誘拐事件が起こる。自分はいったいあの男のどこを見ていたのか―?懊悩する軍曹の心に疑念が浮かんでは消えてゆく。第一線を寡黙に支えた男たちの記憶をあぶり出し、静かに心揺さぶる人間ドラマ!戦争小説の新たな到達点!

著者等紹介

古処誠二[コドコロセイジ]
1970年、福岡県生まれ。高校卒業後、様々な職業を経て、航空自衛隊入隊。2000年4月『UNKNOWN』で第14回メフィスト賞を受賞し、小説家デビュー。10年、『線』をはじめとする一連の執筆活動に対して、第3回「わたくし、つまりNobody賞」を授けられる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

クリママ

50
終戦近いビルマ。ペストの防疫のために村を回る衛生隊を護衛する小隊の軍曹の目線で描かれる。だらしない風体、挙動の軍医である中尉に不信感を覚えつつも、それがマラリアの後遺症であることを知る。日本の敗戦のための撤収の間際、中尉は武装強盗団に連れ去られて消息不明となる。俘虜収容所で、中尉を知る者たちと彼がどうなったのか推測を重ね、そして、自分を省みる。中尉の人となり、その苦しみを知れば涙が流れる。思いは見知らぬビルマに飛ぶ。いい物語だった。著者はビルマを、ビルマの人たちが好きなのだろうと思った。2024/08/30

50
主人公は歩兵の尾能軍曹。ビルマ戦線にてペスト対策に派遣されている軍医の伊与田中尉の護衛任務にあたる。伊与田中尉の軍人らしくない言動に嫌悪を感じる軍曹。最後に伊与田中尉がダゴイ(現地ゲリラ?)にさらわれるが伊与田中尉は無事なのか?と戦争→サスペンス形式になります。難しい用語も出ますがわかりやすい方だと思います。伊与田中尉は婚約者の元へ帰れば彼女が更に苦しい人生を過ごすだろうとその先を見据えての決断をする。ザ・軍人気質の尾能軍曹の考えも、アウトローな伊与田中尉の考えも納得出来ます。2015/01/11

RIN

38
古処さんの何冊目かの太平洋戦争ビルマ編。考えてみれば太平洋戦争でビルマとの関わりはかなり重要なメルクマールになっていたのでは?地政学的にも日本対欧州の太平洋戦争という観点でも。古処さんが集中的にビルマを舞台に書かれているのもさもありなん。そしていつものように、普通の人が戦争という普通ではない状況に置かれた時の人間の本質の激変と不変さを淡々と描くことで、戦争の無意味さ空虚さをじわじわと伝えてくる。派手でドラマチックで号泣ものの戦争小説も意味はあるがこの手の戦争小説はもっと評価されていいと思う。おススメ。2015/12/24

そうたそ

32
★★★☆☆ ペスト収束に奔走するビルマの部落に派遣されてきた軍医の伊与田中尉と、彼の護衛を任ぜられた尾能軍曹。その振る舞いの自由さが時に役職不的確を思わせる伊与田中尉だが、その評価も様々。そんな中、伊与田中尉の誘拐事件が発生する。サスペンスの味わいも合わさって展開される戦争小説。今までの古処さんの戦争小説とはまた違った趣の感じられる作品であるように思えた。淡々とした語り口の中から浮かび上がる伊与田中尉像と、尾能軍曹自身の中尉あるいは他の住民たちへの印象の変化。何をとっても巧さが感じられる秀作だった。2015/02/16

ren5000

30
終戦間近のビルマでのお話ですた。淡々と語られる文章はじわじわと読み手がわに沁みてくる印象を受けました。戦争の話なのにあまり血なまぐさい話がなくなんとも不思議な読後感のある作品でした。2015/10/10

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