内容説明
庭にある鳥の巣箱に棲みついた邪悪な目。絶対に語ってはいけない話。聞いてはいけない話。書いてもいけない話。こちらが生きていることに気付かない、死者。霊を届ける女、受け取る男。「真っ黄色のワンピースを着た女」の都市伝説…。彼岸と此岸の境を失ったとき、人は人ならぬものとなってこの世を彷徨う。「あちら側の世界」に寄り添い生きる著者が聞き集めた数多の怪異から厳選。大好評の実話怪談シリーズ、第6弾!
目次
人形と寝る男
座敷牢の歌声
巣箱からのぞく目
パシリとヤンキー
頭は重い
奇妙な電話
嗅覚の鋭い人
家族計画
霊能力捜査
う~う~と言う人〔ほか〕
著者等紹介
岩井志麻子[イワイシマコ]
1964年、岡山県生まれ。99年、短編「ぼっけえ、きょうてえ」で第6回日本ホラー小説大賞を受賞。また、同作に書き下ろし3編を加えた同題の短編集が、ジャンルを超えた質の高い作品性を支持され、第13回山本周五郎賞を受賞する。恋愛小説『tr´ai c^ay(チャイ・コイ)』で第2回婦人公論文芸賞、『自由戀愛』で第9回島清恋愛文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
135
岩井志麻子さんの好評現代怪談噺の百物語シリーズの6冊目です。本書のあとがきを読むと作者の志麻子さんがとてもご陽気な方なのだなと実感できますし、だからこそ逆に恐怖物語をとことんまで追求して書き続けられるのだろうなと思いますね。確かに言えるのは最後の行を書いた著者が読者を怖がらせるというよりは「どや」とばかりにブラックに笑わせ戸惑わせようとしている気配濃厚な読み心地ですね。『死ねない人』自傷癖があり手首を切っても一日で傷が消えてしまう彼女は死ねない人なのじゃないか。うーん、まあ信じる者は救われるのでしょうね。2020/01/19
みくろ
49
岩井さん流百物語シリーズ6作目。今作は霊能力者や占い師のお話が多かった印象。当たらないのも嫌だけど、当たり過ぎるのも怖い…よく分かります。個人的には「う~う~と言う人」「あの歌」「奇妙な食べ物」「まぶたが人間」が怖かった。このシリーズは岩井さんが思った事や感じた事が主流になっているので、後日譚などがある話もあるが、ほとんど真相は分からないものが多い。でもそこが良いというか、ちょっと変な人の中を覗き見するような感覚が好きです。しかし毎度の事ながら、ご本人が思ってる以上に岩井さんは"呼ぶ人"だよなあと思う。2016/04/21
坂城 弥生
47
有名な銃の開発者の子孫で家を増築し続けている話TVで見たことある!あ、こんな結末を迎えていたのねと知りました。2021/02/17
hideko
25
BOで108円買い。 シリーズ第6弾。と言ってもこのシリーズ初読み。どれから読んでも問題無し。 タイトル通り百物語。しかし、99話しか掲載されてない。読み終わった後に何かが起こる…? ショートショートのホラー編といったところか。志麻子さんが実際に聞き集めた話なので実話だが設定などは変えてある。 霊的なものだったり、人間の悪意、狂気などが詰まった1冊。1話が2ページと大変短く、志麻子さんのネタ帳を覗いてるかのような感じなのでサラリと読める。 戦慄する話もあるがオチでクスリと笑える話も有り。2017/10/13
pulpo8
22
シリーズ第6弾。スルスル読める小説っぽさ。この語り口があるから、「怪談じゃないじゃん!」と思ってもなんだかんだ読み続けている。その良い例が「第四十七話 悪意」「第四十八話 死んだマリン」。正直創作だと思う。でもそれでも面白いなぁ、と思えるのだから、岩井志麻子の文章というのは紛れもない小説家のそれなのだった。次巻を買っていない事に焦るくらいには嵌っている。「第二十七話 箱がほしい」みたいな正統派から「第九十六話 錆びついたギアが回るような」“らしい”犯罪譚まで。このシリーズ読んでると変に視野が広がりそう。2017/08/23