内容説明
もうすぐ8歳になるフィリエルは、父親のディー博士が研究に没頭しているため、お隣に住むホーリー夫妻と暮らしていた。ある日ホーリーさんが連れ帰ったのは、痩せ細った宿なし子。奇妙な数列をつぶやくばかりのその少年を家に置くことにおかみさんは反対するが、ディー博士はなぜかその子に興味を示し、フィリエルを落ち着かない気持ちにさせた―。フィリエルとルーンの運命的な出会いを描く、傑作ファンタジー外伝!
著者等紹介
荻原規子[オギワラノリコ]
東京生まれ。早稲田大学卒。『空色勾玉』(福武書店)でデビュー。以来、ファンタジー作家として活躍。2006年、『風神秘抄』(徳間書店)で、第53回産経児童出版文化賞・JR賞、第46回日本児童文学者協会賞、第55回小学館児童出版文化賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
68
この巻は一息つくためにあるのでしょうね。外伝になっています。8歳になろうとするフィリエルと、あるとき連れてこられたルーンの出会いが印象的でした。お互いに興味を抱くほどの運命。この出会いが後の2人の絆のきっかけなのですね。2018/10/07
かのこ
56
登録後再読。フィリエルとルーン、二人の出会いを描く外伝エピソード。本編は世界を動かす壮大さを一作ごとに増していったけれど、本作は人里離れた小さな荒れ野での一年間のお話。だけど小さな二人にとってそれは世界のすべてで大切な原点の物語。フィリエルはセラフィールドというルーンの言葉が何度読み返してもいい。ルーンの居場所はフィリエル。こんなにも激しくぶつかり合ったからこそ二人の積み上げてきたものは強いしフィリエルは絶対諦めないんだな。どの巻の終わり方も好きだけど本作の締め方はその中でもとりわけいいなと思う。大好き。2019/12/08
ほのぼの
42
フィリエルとルーンの出逢いを描いた外伝。いきなり8歳のフィリエル登場に驚いた。本編を読み終えたばかりなのでタイムマシンで約10年ほどの時を遡った気分。幼いフィリエルが可愛らしい。天真爛漫なわんぱく娘。ルーンが天文台に来たことで博士を奪われてしまったと悲しむあまり、とんでもない行動に出る。そういうとこ成長しても治らなかったよね、フィリエル。(笑)『断章』では本編の後日談が読めて感激。ルーン、フィリエルと二人きりで「あんなこともこんなことも」したかったでしょうに、残念だったね。どんまい!2024/11/14
たるき( ´ ▽ ` )ノ
34
フィリエルとルーンが出会った頃のお話。ルーンがあまりにも空っぽで、胸が締め付けられる。タビサがいなかったら、一体セラフィールドはどんなことになっていたか…。そして最後の断章、最高!ルーンの心情を思うと、めちゃめちゃ笑えた╰(^3^)╯2025/05/21
佐島楓
25
フィリエルとルーンの出会いが書かれる。ルーンが想像していた以上に過酷な育ち方をしてきたことがうかがえる。そして彼が学びの才をあらわすにつれ、複雑な思いを抱えるようになっていくフィリエル。彼女が抱く暗闇は、しかしルーンその人によって打ち払われる。このあたりの葛藤がなかなか読みごたえがあった。相手がルーンだったからこそ、フィリエルは愛し、思い詰めているのだ。これからのふたりはどうなっていくのだろう。2014/08/27