出版社内容情報
わたしは、止まることなく走り続ける。
9年前、13歳の時に家族を事故で亡くした環は、ある日、仲良くなった自転車屋さんからもらったロードバイクに乗ったまま、異世界に紛れ込んでしまう。そこには死んだはずの家族が暮らしていて……。
内容説明
9年前、家族を事故で失った環は、大学を中退し孤独な日々を送っていた。ある日、仲良くなった紺野さんからもらった自転車に導かれ、異世界に紛れ込んでしまう。そこには亡くなったはずの一家が暮らしていた。やがて事情により自転車を手放すことになった環は、家族に会いたい一心で“あちらの世界”までの道のりを自らの足で走り抜く決意をするが…。哀しみを乗り越え懸命に生きる姿を丁寧に描いた、感涙の青春ストーリー。
著者等紹介
森絵都[モリエト]
1968年東京都生まれ。早稲田大学卒業。91年『リズム』で講談社児童文学新人賞を受賞しデビュー。同作品で椋鳩十児童文学賞を受賞。『宇宙のみなしご』で野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞。『アーモンド入りチョコレートのワルツ』で路傍の石文学賞、『カラフル』で産経児童出版文化賞、『つきのふね』で野間児童文芸賞、『DIVE!!』で小学館児童出版文化賞を受賞。2006年『風に舞いあがるビニールシート』で第135回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yoshida
233
交通事故で家族を喪い、唯一の肉親だったおばさんを病気で喪った環。諦感と死への憧れを持ち、内に籠る生き方をしていた環が、過去に折り合いをつけ力強く人生を走り出す様が描かれる。ひょんなことから環が参加したランナーチーム。そのメンバーの一人一人に人生があり、苦悩がある。世界の縮図のように。それぞれの力で人生というレースを走ってゆく。時に仲間に助けられ、また、誰かを助けながら。人生はマラソンに似ていると思う。走るのは自分だし、自分自身との戦いだ。走る原動力はそれぞれの想い。仲間の声援が背中を押す。素晴らしい作品。2018/02/17
さてさて
217
「カラフル」と全く同じ感情に包まれる読後。 あたたかく優しい感情に包まれる読後。そして、明日もまたがんばろう!という前向きな気持ちに包まれる読後。 心のど真ん中を射抜かれるという感覚、そこから流れ出るあたたかい感動と満足感に包まれる心からの幸せをじんわりと感じた森絵都さんの傑作でした。 森絵都さん、こんなにも深い感動をありがとうございました。 2020/12/01
しんたろー
200
森さん5冊目。題名から「スポ根青春もの」とに思っていたので、序盤の緩い展開と主人公・環の後向きな姿勢に戸惑った。そして、突然始まるファンタジーにも驚いたが、徐々に慣れて「森節」とも言える「芯の強い優しさ」の語り口が心地好くなる。ランニングチームのメンバーたちのキャラが「いるいる!」という親近感が持てるし、段々とチーム感が増してゆくのも群像劇好きには嬉しかった。特に環の好敵手?真知栄子は憎たらしくも愛すべき存在として、この物語の大きなスパイスになっていた。最終章が駆け足過ぎた感もあるが、前向きになれる良作。2018/09/10
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
137
現世と冥界の境にある『レーン』。これを越えれば家族に会える。私を残して逝ってしまった家族に……。家族を事故でなくした女性・環が、同じ境遇のサイクルショップの店主に貰った自転車で『あの世』へ続く道を見つける。再会を喜ぶのもつかの間、自転車を手放さなくてはならなくなり、環は自分の足で『レーン』を越えるため、ランナーズチームに入ってトレーニングを開始する……。アップダウンが激しいストーリーだが、『冥界のルール』など設定が巧みに作り込まれていて一気に読ませる。チームメイトの真知栄子の存在が物語に奥行を与えている。2016/07/25
ゴンゾウ@新潮部
110
スポ根ものを想像していた。モナミ一号に乗り天国の家族達に逃避する環。 いつ前を向くのかと食傷気味になる前半だった。ドコロや訳ありの仲間達と走り出してから一挙にエンジンが加速した。森さんが奏でる再生の物語に感動しました。2017/12/04
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