出版社内容情報
ちいさな島の孤児院で育った少年・シアンの左手には、生まれるまえの記憶をよぶ不思議な力があった。小学館児童出版文化賞受賞作家による傑作長編。
斉藤倫[サイトウリン]
著・文・その他
まめふく[マメフク]
イラスト
内容説明
ちいさな島、ラーラの診療所でひろわれた少年、シアン。けっしてひらくことのない左手には、ふしぎな力があった。生まれるまえの記憶をめぐる傑作長編。小学校高学年から。
著者等紹介
斉藤倫[サイトウリン]
1969年生まれ。詩人。2004年『手をふる 手をふる』(あざみ書房)でデビュー。2014年『どろぼうのどろぼん』(福音館書店)が、初の長篇物語。同作で、日本児童文学者協会新人賞、小学館児童出版文化賞を受賞
まめふく[マメフク]
イラストレーター。児童書や文具・雑貨などのイラストを中心に活動(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はる
83
良かったです。何だか妙に心に沁みる物語。ふんわりしているのに切なく温かい、繊細な世界。クライマックスはハラハラドキドキの展開でストーリーも良く出来ている。散文詩のような文章は独特の世界観を醸し出しています。結末も爽やかで満足。斎藤さん、初めて読みましたが他の作品も読んでみたくなりました。2018/04/10
seacalf
68
いっぺんで好きになってしまった。なんと心をつかむ文章を書いてくれるのだと思ったら作者は現代の詩人さん。この斉藤倫さんがいざなうのはカモメという名の猫が語り紡ぐ不思議な能力を持った少年と優しい大人達の物語。ほのぼのさせられながらも、ハラハラとするストーリー展開に涙が込み上げるラスト。まるで上質の映画を観た気分。心に残る大切な一冊になった。まめふくさんの挿し絵がとても可愛らしく、ドラマチックな構図も驚くほど秀逸。本の装丁もとても素敵。これからどんどん評判になるだろうこの物語、ぜひ多くの人に読んでもらいたい。2018/06/10
papapapapal
58
燃え盛る船の中から救出された男の子、シアン。彼の開かない左手には、ある秘密が隠されていた…。緊迫のプロローグでがっつり心を掴まれる。徐々に明らかになる、シアンの不思議な能力。猫の「カモメ」目線で語られる物語は、子どもが育つ穏やかな日々から、やがて、国家をめぐる権力争いへと発展していく。キーワードは、子どもを思う大人の気持ち。「きみがいて、きみがうれしいなら、きっと、それでよい」。たぶん…どんな親でも一度は考えること。 カテゴリーは児童書だけど、大人も一読の価値あり。ジブリで映像化希望!!2020/02/18
鱒子
55
図書館本。カモメという名の猫が語り部で、ラーラ島の診療所兼孤児院で起こった出来事を中心に話が進みます。さまざまなシーンに心揺さぶられ、目は潤み鼻の奥がツンとしっぱなしです。児童書ですが、大人にも読んで欲しい素敵な本。まめふくさんの絵がとてもキュート。2018/06/13
ぶんこ
51
小さな島に住み着いた心優しい医師フジ先生が、死にそうな赤ちゃん猫を助けた事から始まるあったかい物語。次々と孤児を引き受け、看護師ネイとリネンとで育てます。孤児院で育つ孤児たちのきつい日々の本を読んだ後だけに、ここでの子どもたちの伸びやかさと、親を思ういじらしさにウルっときました。つくづく子どもたちの周りにいる人の人間性がダイレクトにに子どもに響くものだと痛感。4歳のシアンに起こった事件がハッピーエンドで良かったです。2018/04/23