出版社内容情報
それぞれの物語をもった人たちが音楽をとおして心をかさねあわせていく。震災復興支援のチェロコンサートを爽やかに描いた絵本。 小学校低学年から
内容説明
ひとりひとりの物語がちがっても、きもちを重ねあわせれば歌はひとつになって風にのる。そしてきっとだれかにとどく。小学初級から。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
373
いせひでこさんの絵と文。絵は表紙に見られるように水彩画。全ページにわたって展開するパステルカラーが美しい。また、2人の子どもたちの動きの躍動感と、戸外の風景が生命観に溢れている(それは主題を背負うものでもあるのだけれど)。もちろん、チェロに向かう時の真剣な表情も。文は多くを語らないが、それだけにそこに籠められた思いは深く、また大きな広がりを持っている。1000人の人が奏でるチェロの響きはどんなだろう。それを想像するだけでワクワクする画文集。2022/12/18
やすらぎ
188
1000の風が吹くと1000の音が聴こえてくる。公園の木々と風が重なって、自然の音色が世界を奏で、鳥が自由にさえずる。それぞれの音は主張しすぎず一体となって心に届く。…幸せは前触れもなく、一瞬でなくなるときがある。傷心の支えとなるチェロ。1000人の呼吸が止まる。静寂が訪れる。少しずつ、鼓動のリズムが合わさっていく。指揮棒が振られ、一斉に心が鳴り響く。それぞれの思いが音となり曲となり、一つの大きな力となる。…生きている限り、別れを避けることはできない。その悲しみを忘れることはできないが、癒すことはできる。2021/07/24
紫綺
147
阪神淡路大震災に寄せて・・・。復興支援のために1000人のチェロが集まる。今にもチェロの音が聴こえてきそうで、ホロリとなる。2016/09/24
やま
145
阪神淡路大震災復興支援チャリティー「1000人のチェロ・コンサート」に参加された体験に基づいて描かれた絵本です。 今年で大震災から25年が経ちます。 忘れてはいけないことですが、日々の中で忘れていたことを、いせさんがやさしく思いでしてくれます。 文章を読みながら後半涙が出て来ます(涙) そして、絵を見ていくと、いせさんの透明な、やわらかい、やさしい、筆遣いが私の心をしっかりと捉えます。心の中に留めて置かなければと、あらためて思います。 2000.11発行。字の大きさは…中。2020/11/27
のっち♬
113
死んだ犬のグレイをわすれられない少年が、震災による喪失感を抱えた人たちとともに1000人のチェロのチャリティーコンサートに出る。グレイのエッセイシリーズの延長としても読める、極めてパーソナルな作品と言えそう。会話文に音符を加えたり、阪神淡路大震災のモノクロ写真も挿入したりと表現手法は従来に比べて柔軟。チェロを弾く姿は「かげを抱いている」イメージらしく、その色調は重くて翳りがある。自分の心情を演奏を通して共有できるのも音楽の可能性の一つ。憂いを帯びたチェロの音色は特に悲しみや癒しにマッチしていることだろう。2022/09/14
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