出版社内容情報
【文学/外国文学小説】ジョニー・デップ主演で映画化され、6月の日本公開が決定している。元祖ゴンゾー(無頼派)ジャーナリストとして『ラスベガスをやっつけろ』『ヘルズエンジェルズ』などで知られるハンター・トンプソンの自伝的青春小説。まぼろしの名作、待望の邦訳。
内容説明
ラム酒にひたってすごしたプエルトリコでの新聞記者時代。ゴンゾ(無頼派)ジャーナリストとして今なおカリスマ的人気を誇るハンター・S・トンプソン。夏のプエルトリコを舞台に描く、ジャーナリズム界のロックスターの自伝的青春小説。
著者等紹介
トンプソン,ハンター・S.[トンプソン,ハンターS.][Thompson,Hunter S.]
1937年、アメリカ・ケンタッキー州ルイビル生まれ。元祖ゴンゾ(無頼派)ジャーナリストとして活躍し、1970年代には人気絶頂にあったニクソンを痛烈に批判するなど注目を浴びた。数々のノンフィクション作品を残した。2005年、拳銃自殺
中江昌彦[ナカエマサヒコ]
1947年生まれ。慶應義塾大学卒。レコード・ディレクターを経て、翻訳を始める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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藤月はな(灯れ松明の火)
69
白人社会ではドロップアウトした存在として底辺として喘ぐしかない彼らにとって属国としてのプエルトリコは天国なのか?NO。自堕落な己に嫌気が差し、だとしても変えることもできず。現地人からは支配者への侮蔑と憎悪による嫌がらせの日々に精神をすり減らし、ラム酒を呷る。似た者同士とグダグダと喚きながらも「自分はあいつより、希望がある分、マシだ」と信じ込む姿が目を背けたくなるほど、リアルだ。特に30になったばかりなのに荒みきったサラの姿も痛々しい。そしてアメリカ社会の豊かさの裏を取材した作者が自殺したという最後にも絶句2017/12/27
harass
49
プエルトリコの英字新聞に記者として勤め、ラム酒と動乱に溺れる日々を描く、カルトなジャーナリストの自伝的小説。三十代になったばかりの著者はまだ若くこれまでの流浪の生活と将来に不安があり、ナイーブさが目立つ。有能無能な記者連中と貧しい町と高級リゾート開発地域が入り組む中南米社会が背景にありなんともやるせない。 先に読んだ『アメリカンドリームの終焉』にもこの小説の一部があったが、ジョニー・デップはこの著者を敬愛していて、お蔵入りだったこの小説全部は彼の強い推薦で出版された。同名映画もあり、デップ主演。2016/05/08
R
21
プエルトリコに流れ着いたはぐれ者の記者が、潰れかけた新聞社で毎日ラム酒をあおり、似たような同僚たちとぐだぐだやってる話でした。コメディではなく、ろくでなしの日常というか、生き様が生々しく描かれた退廃的な印象。物凄い事件や、ジャーナリズムに挑むといった高尚なものはなく、大して若くもないけども青春を過ごしているという、自由と不安が入り混じった閉塞と破滅が感じられました。一点、ロマンス部分だけは綺麗なお話でした。2016/11/28
きょん
11
北米からプエルトリコにたどり着き、記者として働く主人公。ラム酒に溺れ、暴動をはらむ南の国の倦怠に溺れる。自分はなにかなし得ると思っているが、日々はただ移ろっていく。これが作者の青春記か、ちょっと盛り上がらないまま読み終わった感がある。2016/01/02
ブラックジャケット
10
今ではゴンゾー・ジャーナリズムという言葉自体も聞かれないが、そう評されたご当人。ウィキによれば「ならず者」「常軌を逸した」の好意的表現だという。この自伝小説も都落ちしたジャーナリスト、ポール・ケンプを主人公に一人称のまくし立てるリズムが、当時のトンプソンの勢いを感じる。プエルトリコ・サンファンの弱小新聞社に流れ着いたポールは、地元のラム酒を飲みながら、仲間の記者たちと無頼な生活に明け暮れる。南の島の開放感と陽生のリズムカルな文体が音楽を感じさせる。このスタイリッシュな世界に魅了される人も多いだろう。 2020/11/04