出版社内容情報
遺伝が学力に強く影響することは、もはや周知の事実だが、誤解も多い。本書は遺伝学の最新知見を平易に紹介し、理想論でも奇麗事でもない「その人にとっての成功」(=自分で稼げる能力を見つけ伸ばす)はいかにして可能かを詳説。教育の可能性を探る。
内容説明
マニュアルどおりに育てても、“うちの子”の成績が上がらないのは、あたりまえ。親の言うことをきかないのも、子の遺伝子の仕業。あらゆる感情や行動に遺伝の影響は表れるからだ。遺伝で受け取った“素材”を存分に引き出し、伸ばし、自信をもって生きていくために、効果的な「教育」のかたちを科学的知見から明らかにする。
目次
第1章 遺伝は遺伝せず―基本はメンデルにあり
第2章 あらゆる能力は遺伝的である
第3章 親にできることは何か―学庭環境の効き方
第4章 教育環境を選ぶ―学校の内と外
第5章 「自由な社会」は本当に自由か?
第6章 そもそも、子どもにとって親とは?
著者等紹介
安藤寿康[アンドウジュコウ]
1958年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒業後、同大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。慶應義塾大学名誉教授。教育学博士。専門は行動遺伝学、教育心理学、進化教育学。日本における双生児法による研究の第一人者。この方法により、遺伝と環境が認知能力やパーソナリティ、学業成績などに及ぼす影響について研究を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
breguet4194q
131
「これは遺伝による影響。ただし、他の可能性も否定しない」みたいに、一つ一つの主張がグレー過ぎる。一つエビデンスを取っても、影響するであろう因子が多すぎて、結論がボヤけて仕方がない有り様に感じました。著者は「遺伝は教育に負けるほど弱くない。」しかし「遺伝をこの世界で形にしてくれるのが教育」と主張。ちょっと意味不明です。期待が高かったが故に、残念な読後感でした。2023/10/17
アキ
98
行動遺伝学という分野を初めて知りました。子どもがどういう大人になるのか親としては気になるところ。やはり遺伝の影響は50%くらいあるらしい。そしてコントロール不可の偶然の環境が40%弱。誰に育てられても子どもは「おおむね同じように」育っていく。一卵性双生児の男性が誕生時点で別れそれぞれ別の環境で育ったが、二人の性格はほぼ同じく几帳面だった。なぜそんなにきれい好きなのか質問すると一人は「母が几帳面だったから」と答え、もう一人は「母に対する反動です。母はだらしない性格でした」と答えた。親の影響とはそんなもの。 2024/12/06
きみたけ
78
著者は、慶應義塾大学名誉教授で教育学博士の安藤寿康先生。すでに「能力はどのように遺伝するのか」「なぜヒトは学ぶのか 教育を生物学的に考える」「日本人の9割が知らない遺伝の真実」の3冊を読了。行動遺伝学の第一人者が、効果的な「教育」のかたちを科学的知見からアプローチした一冊。今回初めて行った一卵性双生児の「聞き書き」によるライフヒストリーがこの本のウリとのこと。タイトルの「教育は遺伝に勝てるか?」に対し、「遺伝をこの世界で形にしてくれるのが教育だ」とのメッセージを伝えたかったとのこと。2024/09/25
たまきら
44
なかなか挑戦的なタイトルです。行動遺伝学、という初めて聞く言葉に興味を覚えながら読み…ふと不思議な気持ちになりました。私が子どもの頃、近所の子たちとお弔いごっこをしていたのですが、私だけみんなと作るお墓が違ったんです。私の作ったお墓はお庭状態で、友人たち曰く気持ち悪いぐらい儀式まで考えてあったというのです(本人は忘れてました)。後に自分の祖父が沖永良部の神官の出だとしり、島を訪れて驚きました。お墓が庭だったんです。…あれ、遺伝だと思う…。2025/03/25
ヨンデル
42
教育は遺伝に勝てるか? (朝日新書)/安藤寿康 ヒトの性格に関することに興味があり、関連する本を読み続けています。私の考える人の性格とは親から受け継いだ遺伝子が基本にあり、その後生活するうえでの経験が積み重なることによって、変化し続けたものが性格と思う。もう少し詳しく書くと、全ての生物がもっている遺伝子はどの種も同じと思う。大きくは二つあり、一つ自分の命の大切さに関すること、あと一つは自分の種を残すことの二つと考えられる。2025/03/18
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