出版社内容情報
京都と東京はどちらが格上か。首都東京の圧勝だろうと著者は本書を書きだした。ところが……各地に残る不可解な地名から「とらや」の羊羹まで、数々の物的証拠が千年の古都のあなどりがたさを告げる。ほこらしげな京都人たちに、もう一太刀、あびせておかねば。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
つちのこ
42
前作「京都ぎらい」でさんざんこき下ろしたかにみえたが、まだ物足らなかったようだ。古来から続く地理的要素で京都市内の更に狭いエリアの洛中こそ京都と限定してしまうと、周りに散らばる代名詞的な有名観光地は蚊帳の外に置かれてしまうのもなんだか変だ。外野から見れば、そんなどうでもいいことにこだわることが理解不能。京都人のいやらしさがプライドからくるとしたら、実に些細で小さい。好きにやってくれればいいと思う。オーバーツーリズムの影響で人口減少に拍車をかけている京都は、その魅力とは裏腹に何とも狭量で業が深い街に思えた。2025/02/22
HMax
35
「京都ぎらい」に続いて「東京ぎらい」を書かないか、と声をかけられて書いたのがこの本らしい。そういえば、京都の人は東海道新幹線の「上り」に反発している人が多かったですね。この本の大きな収穫が二つ、①長岡京市が昔は長岡町だった。それで「家どこ?」「長岡」と京を付けないのか。JR神足が長岡京に変わった時はショックでした。②ハノイの旧名が東京だった。因みにハノイの漢字は河内。2020/10/10
アイシャ
33
『京都ぎらい』に続く本作。井上氏の本を読むと、京都というところが独特の特殊性を持つ土地だというのがよくわかる。でもその内容は旅行者としてしか行ったことのない私には、理解の範疇を超える。そもそも『洛中』『洛外』という感覚が本当にわからない。前作で嵯峨育ちの井上氏の言葉が自分たちとは違うと言った『洛中』住まいの方の話。これは井上氏でなくては書けない感覚だろう。嵯峨は私にとって一番好きな京都だ。老舗の後継者の話も興味深かった。由緒ある家を継いだ跡取りには苦悩があり、それがイケズ口へと繋がると。貴重な読書経験だ2025/03/08
Cinejazz
24
大ベストセラーの『京都ぎらい』に続く姉妹編。千年の都、 ことに洛中に住む京都人が見下している「東京」との関わりを取り上げ〝京都至上主義〟の人たちに、もう一太刀浴びせようと気を吐いた『東京ぎらい』ならず『京都まみれ』の巻 ▷東京への出張を「上京」ではなく「東下り」と公言 ▷地方創生事業として「文化庁」の移転先を京都とすることに、京都は「地方」にあらずと、「地方」から「地域」に事業名を変更させる▷天皇一家御在所の京都復帰を表明 ▷京丹波、京丹後、京田辺の出現を皮肉る「洛中京都」など、意気盛んな京都の風刺編。 2022/10/18
てん06
22
「京都ぎらい」に続く本。前半は、洛中に住む京都の人々についてこれでもかという感じの勢い。完全に著者の鬱憤晴らしの本(笑)。「東京」という地名、なぜ今も京都が「京都」なのか、京都の行政区に「西京区」があること、京都市の外なのに「京丹波町」「京丹後市」「京田辺市」がある理由。後半は、京都の老舗とそれにかかわる人たちを描く。京都は、最近まで小・中・高校生が本当に勉強しないのが不思議だったが、なんとなく理由がわかった気がする。例外はあるものの。2021/11/09