内容説明
「泥沼」「確執」「骨肉の争い」京都の老舗ブランドで何が起こったのか。一度はすべてを失ったかに見えた経営者夫妻。彼らがスタッフと一丸となって新ブランドを立ち上げるまでを綿密な取材でまとめたノンフィクション。手間ひまを惜しまずに作られる「信三郎帆布」の全てを紹介。
目次
第1章 お家騒動(振り向いたらあかん;2通の遺言書 ほか)
第2章 信三郎帆布の挑戦(潔う捨てましょう;新しいブランドネーム ほか)
第3章 3代目信夫が語った「一澤帆布物語」(初代、喜兵衛はハイカラ男;京都バンドと華やかな人脈 ほか)
第4章 帆布かばんができるまで(帆布のにおいの中で;大企業との落差に驚く ほか)
第5章 小さくてもオンリーワン(夢やないんやな;筆跡鑑定ふたたび ほか)
著者等紹介
菅聖子[スガセイコ]
広島県生まれ。自由学園卒業。出版社勤務を経てフリー編集者、ライターに。暮らし、もの作り、教育など幅広い分野で、雑誌・書籍の編集や聞き書きを行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
梅干を食べながら散歩をするのが好き「寝物語」
16
▼著者は元来、3代目一澤信夫を取材していた。それがきっかけとなり信夫逝去後の相続に関するトラブルを取材することとなった。▼信三郎(三男)と長男がそれぞれ持つ内容が正反対の遺言書を持っており、四男も巻き込んだ形で後継者争いが起きた。▼タイトルのとおり著者は信三郎の味方をした形で本をまとめている。信三郎は元来勤務していたスタッフと一丸となり新ブランドを立ち上げたが、その顛末をも綿密に取材している。▼この本を読み終えて、遺言書の怖さを知るとともに、信三郎帆布の製品を見てみたい、店に行きたい思いを強く持った。2022/08/31
かもい
12
京都の老舗帆布店のお家騒動を扱ったルポ、構成も上手くドラマティックで小説のよう。しかし完全に信三郎側に立って書かれた本なのでいささか美談により過ぎている感があり、お家騒動顛末記と言うよりは信三郎帆布の歴史程度に読むべきか。特に、長男はともかく四男は何故長男側に立ったのか謎…。四男の方が三男より先に家業を手伝っていたようなのでその辺の事もあるのでしょうか。色々世間を賑わせた老舗ですが、手元のかばんの使い易さが全てを語るか。牛乳瓶かばんを図書館通いに愛用中です、いつか使い倒して修理に出してみたいなあ…。2015/04/06
スプリント
10
当主の死去により分裂した一澤帆布の三男信三郎氏側にたった本です。ニュースになった当時も訴訟の経緯や内容をみても長男側に理はないように感じましたが本書を読むとさらにその思いが強くなりました。現在も細々した訴訟が続いているようで骨肉の争いの業の深さに恐怖を覚えます。2015/01/18
槙
8
一気読み。法廷サスペンス、帆布加工の歴史、日本の職人のこだわり、新企業立ち上げのサクセスストーリーなどなど、エピソードがそれぞれおもしろかった。筆者が生前、一澤信夫さんに聞き取っていた、本にしたかったという一澤信夫さんの語り口による一澤帆布の歴史のお話がおもしろくて、予想外であろうこういう形だが本になって本当に良かったと思う。うっかりすると本5冊くらいかばんにつっこんで歩いてることがあるので、丈夫な帆布かばんがほしい。2018/04/19
いとうこんぺい
5
帆布が好きで、手持ちのバッグはほとんど帆布です。基本京都でしか買えないものなので、店舗に行く機会をうかがっていました。そんな中で起きた混乱、その話の本です。ものづくりの信三郎さんの元に一澤が返ってよかった! 無事、もとの鞘に戻ってすぐの2011年5月にお店に行けました。感動。そして買いすぎた...2014/03/02